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山形市の蔵王ロープウェイの紅葉は、標高の高い山頂から始まり、およそ1か月かけて温泉街まで下りてきます。

日本の本島である本州の北部に東北地方が広がっており、山形県はそのほぼ中央に位置しています。県庁所在地である山形市、その郊外の山あいにあるのが蔵王温泉です。ここから山頂へ向かう蔵王ロープウェイは山麓と山頂の標高差が約800メートルあり、紅葉は9月下旬の山頂から10月下旬ごろの温泉街へと、標高の高いところから順に見頃が移っていきます。

この記事では標高別の見頃時期、料金と運行時間、山の上を歩けるトレッキングコース、蔵王温泉にある3つのロープウェイの違い、山形駅からのアクセスまでをまとめました。読み終わるころには、蔵王の紅葉を見に行きたくなっていることでしょう。

紅葉を見に行く日を決めるとき、多くの方はまず「紅葉スポットの名前」と「見ごろ」を並べて検索します。ところが蔵王の場合、この問いにはいくつもの答えが返ってきます。

同じ日に同じ山を訪れても、足元と頭上とで色づきの進み方が違うためです。

紅葉した斜面の上を進む蔵王ロープウェイのゴンドラ
写真:山形県山形市 / 標高差約800mを結ぶ蔵王ロープウェイのゴンドラ

蔵王ロープウェイは、蔵王山麓駅から樹氷高原駅(じゅひょうこうげんえき)を経由して、地蔵山頂駅(じぞうさんちょうえき)までを結んでいます。乗り継ぎ地点となる樹氷高原駅が標高1,331メートル、終点の地蔵山頂駅が標高1,661メートルです。

高低差でいうと、山麓線が464メートル、山頂線が329メートルとなっており、2区間を合計すると約800メートル。東京スカイツリーの634メートルを上回る高さを、ゴンドラを乗り継いで上がっていく計算になります。

標高が800メートル違えば、気温も大きく変わります。蔵王の紅葉が山全体で一斉に色づかず、山頂から温泉街へ順番に降りてくるのは、この気温差があるためです。

10月のある一日に訪れると、山頂ではすでに葉が落ち、中腹では紅葉が真っ盛り、温泉街ではまだ緑が残っている。そんな三層の景色に出会えることもあります。ひとつの山で秋のはじまりと終わりを同時に眺められるのが、蔵王の秋のいちばん面白いところです。

では、自分が行く日はどの高さが見頃なのか。ここからは地蔵山頂駅から蔵王温泉街まで、色が降りてくる順番を日付で追っていきます。

山頂付近から色づき始めた蔵王連峰の紅葉
写真:蔵王連峰 / 山頂から順に色づいていく秋の斜面

色づきが最初に始まるのは、地蔵山頂駅の周辺です。9月下旬にここから色が入り、ゆっくりと山を下って、10月下旬ごろには蔵王山麓駅の周辺まで届きます。標高の低い場所では年によって差があり、11月上旬ごろまで色が残ることもあります。

色が山を下りきるまで、およそ1か月。9月下旬から10月下旬にかけて、標高の高いところから順に見頃を迎える流れです。ただし、進み方はその年の気候によって大きく前後します。実際に2025年は、地蔵岳山頂付近が10月21日の時点ですでに落葉していました。日程が決まったら、次に紹介する方法で当年の色づきを確かめてみてください。

蔵王の紅葉は「黄色に橙、赤に煉瓦色」と表現されます。一色に染まるのではなく、複数の色が入りまじって斜面を覆っていくためです。ブナをはじめとするいろいろな木がそれぞれのタイミングで色を変えており、斜面がまだらに染まっていきます。

そして、そのグラデーションを真上から見下ろせる。歩いて見上げる紅葉とは、色の重なり方も広がり方も違います。蔵王の紅葉を語るときにロープウェイが欠かせない理由は、この一点にあります。

例年の目安は次のとおりです。

地蔵山頂駅の周辺
【標高】1,661m
【例年の見頃】9月下旬に色づき始め、10月上旬ごろ

樹氷高原駅、いろは沼、観松平(かんしょうだいら)の周辺
【標高】1,331m
【例年の見頃】10月上旬から中旬ごろ

蔵王温泉街、蔵王山麓駅の周辺
【標高】山麓側(蔵王温泉街)
【例年の見頃】10月下旬ごろ

※上記は例年の目安です。場所や年によって前後しますので、出発前に公式サイトでご確認ください。
【参考 公式サイト】山形市観光協会

色づきはその年の天候で前後します。そこで頼りになるのが、山頂付近のライブカメラです。当日の色づきと空模様が画面で確かめられるので、出発の朝に開いてみてください。山形市観光協会の「WEB山形十二花月」でも、紅葉の見頃情報が随時更新されています。

蔵王ロープウェイの公式FacebookInstagramでは高山植物の開花情報も発信されており、山の上で今どんな花が咲いているかまでわかります。当日の楽しみがひとつ増えます。

見に行く時期が決まったら、次は乗り物です。蔵王ロープウェイは1本の路線に見えて、実際には2つの区間に分かれており、券売機の前で行き先を選ぶときにこの違いが効いてきます。

標高1,331mと記された樹氷高原駅の駅名標
写真:樹氷高原駅 / 山麓線と山頂線を乗り継ぐ中間駅の駅名標

蔵王山麓駅から樹氷高原駅までが「山麓線」、樹氷高原駅から地蔵山頂駅までが「山頂線」です。乗車時間は山麓線が7分、山頂線が10分。足すと片道17分で、山ひとつぶんの高さを移動できます。

山麓線に乗ると、まず樹氷高原駅に着きます。ここで山頂線に乗り換えて、地蔵山頂駅へ向かう流れです。

樹氷高原駅で降りて、その先へは行かないという選び方もできます。運賃も駅ごとに分かれており、その日の時間と体力に合わせて、どこまで上がるかを決められます。

山頂線に使われているのは「フニテル」と呼ばれる方式のゴンドラで、2本のロープの間隔がゴンドラの幅より広く取られているのが特徴です。名前はフランス語の造語で、鋼索鉄道を意味する Funiculaire と、架空索道を意味する Téléphérique を組み合わせたもの。

日本でこの方式を採用している例はごく少なく、蔵王は箱根ロープウェイに続く国内2番目にあたります。ロープの間隔が広いぶん、支柱を通過するときや強風のときも揺れが小さく、座ったまま窓の外を眺められます。プラットホームと搬器(はんき)の間には段差も隙間もなく、乗り降りのときに足元を気にせずにすみます。

扉が閉まり、ゴンドラが動き出すと、窓の外には斜面がそのまま広がります。黄色からオレンジへと移る色の帯が、目線より下にどこまでも続いており、視界いっぱいを紅葉が覆います。乗っている間カメラを構えたままの方も多く、片道17分の移動が、そのまま観賞の時間になります。(0:52)

下りでは、同じ窓から見えるものが変わります。斜面の切れ目に現れるのは、温泉街の屋根と施設群。上りは近づいてくる山肌を眺め、下りは遠ざかっていく町を見下ろす。同じ17分でありながら、往路と復路で印象がまるで違ってきます。(3:13)

その途中には、腰を下ろして景色を眺められる場所があります。

樹氷高原駅を降りて少し歩くと、斜面に向かってベンチとチェアが並ぶ場所に出ます。百万人テラスです。

斜面に向かって並ぶ百万人テラスのベンチとチェア
写真:百万人テラス / 斜面に向けて並ぶベンチとチェア

「百万人テラス」は、蔵王ロープウェイが整備している蔵王テラスのひとつです。山麓線の終点である樹氷高原駅を出て、歩いてすぐの場所にあります。登山靴に履き替えなくても、駅からそのまま向かえる距離です。

屋根つきのベンチと、斜面に向けて置かれたチェアが並ぶ作りになっており、日差しの強い日は屋根の下、風のない日は正面のチェアと、その日の空模様で座る場所を選べます。(1:59)

テラスが向いているのは、山を下る方向です。手前には色づいた木々、その先にはゲレンデの斜面がゆるやかに落ちていき、視線のいちばん奥に蔵王温泉の建物が小さく見えます。標高1,331メートルから見下ろす形になるため、斜面全体が一枚の視界に収まります。ゴンドラの窓を流れていった景色を、今度は座ったまま端から端まで追える場所です。

この高さで紅葉が見頃を迎えるのは、例年10月上旬から中旬。山頂の色が落ち着いたころにちょうど色づく標高帯にあたるため、10月半ばに訪れるのであれば、山頂まで通しで上がるよりも、この一帯で時間を使うほうが色の濃い眺めに出会えます。

腰を下ろして正面を向くだけですので、小さなお子さん連れの方も、長く歩くのが得意でない方も、同じ景色を同じように味わえます。斜面を背にすれば人物と紅葉を一枚に入れやすく、インスタ映えする写真を狙うなら、この正面のチェアが定位置になります。

蔵王テラスへは、車で直接向かうことができません。訪れるときは蔵王ロープウェイを利用します。つまりここから見える景色は、ゴンドラに乗った人だけが受け取れるものということです。

車で蔵王温泉まで来た場合も、山麓駅の駐車場に停めてから乗車する流れになります。駐車場については、記事後半のアクセスの章でご案内します。

樹氷高原駅から、もう一区間。山頂線に乗り継ぐと、終点の地蔵山頂駅に着きます。扉が開いた瞬間、頬に当たる空気の冷たさで、高さが変わったことがわかります。

地蔵山頂駅のそばに立つ石像の蔵王地蔵尊
写真:地蔵山頂駅 / 雪のない季節に全身を見せる蔵王地蔵尊

この駅の見どころとして挙げられているのが、蔵王自然植物園(三宝荒神山/さんぽうこうじんやま)、蔵王地蔵尊(ざおうじぞうそん)、そして地蔵山、熊野岳(くまのだけ)、刈田岳(かりただけ)への登山口です。

つまりこの駅は、景色を眺める場所であると同時に、蔵王連峰へ歩き出すための入口でもあります。装備を整えて登っていく人と、駅前だけをのんびり歩く人が、同じ扉から出発していく。山の駅らしい光景です。

蔵王地蔵尊が鎮座しているのは、地蔵山頂駅から100メートルほどの場所です。お地蔵さまとは仏教の信仰の対象で、旅人や子どもを見守る存在として日本各地に祀られてきました。

この一体が造られたのは安永4年(1775年)。安山岩でできた高さ2.34メートルの坐像で、完成までに37年もの歳月がかかったと伝えられています。蔵王はかつて深い山岳信仰を集めた山であり、この地蔵尊もその信仰のなかで山頂に据えられました。建立後に遭難者が少なくなったことから、誰言うともなく「災難よけ地蔵」と呼ばれるように。像の左右には観音と不動明王が控えており、災難除けと諸願成就を願う対象として、今も毎年5月24日と9月24日に大祭が営まれています。

冬になると胴体が雪に埋もれ、写真では上半身だけが雪原から顔を出します。紅葉の時期なら、台座から頭の先までを見上げられます。冬の姿しか見たことがない方には、これが本来の大きさかと驚く一体です。

標高1,661メートルは、雲が流れる高さです。麓が晴れていても山頂は霧のなか、ということがあります。遠くの山並みがやわらかくかすみ、稜線の輪郭だけが残る日も少なくありません。

同じ日でも、樹氷高原駅の百万人テラスとは見え方がはっきり分かれます。地蔵山頂駅は森林帯を抜けた高さにあるため、視界をさえぎるものがない代わりに、雲が入ると一面が白くなります。いっぽう百万人テラスは木々に囲まれた高さですので、霧が出ても手前の紅葉は見えたまま。遠くの眺めを狙うなら山頂、確実に色を見たいなら樹氷高原駅、という使い分けになります。

地蔵山頂駅には山頂テラスも整備されており、晴れた日はここから蔵王連峰を見渡せます。天気の良し悪しで滞在する駅を入れ替えるつもりでいれば、どちらに転んでも見どころが残ります。

山の上には、歩くための道も整っています。起点になるのは、地蔵山頂駅と、樹氷高原駅で乗り継ぐユートピア夏山リフトの終点。距離と所要時間がはっきりしているので、その日の体力に合わせて選べます。

いろは沼の湿地帯に敷かれた木歩道と休憩所
写真:いろは沼 / 湿原を渡す木歩道

公式サイトのトレッキング案内には、ビギナー向けと一般向けをあわせて次の6コースが掲載されており、このほかに健脚向けのコースも用意されています。

ビギナー
【いろは沼コース】徒歩1.0km・所要1.0時間
【蔵王自然植物園一周コース】徒歩0.4km・所要0.5時間
【鴫の谷地沼周遊コース(しぎのやちぬま)】徒歩2.0km・所要1.0時間
【地蔵山周遊コース】徒歩2.0km・所要1.5時間

一般
【蔵王自然植物園・地蔵山周遊コース】徒歩2.4km・所要2.0時間
【観松平周遊コース】徒歩2.5km・所要1.5時間

※所要時間は成人男性の平均です。
※蔵王自然植物園と地蔵山のコースは地蔵山頂駅が起点です。いろは沼と観松平のコースは、樹氷高原駅でユートピア夏山リフトに乗り継いだ終点が入口になります。鴫の谷地沼は蔵王温泉街の側にあります。

なかでも歩きやすいのが、いろは沼コースです。向かうときは、樹氷高原駅で山頂線に乗り換えず、駅のそばのユートピア夏山リフトへ。リフトを降りた地点が観松平の入口で、案内板に従って進んでいくといろは沼にたどり着きます。

いろは沼は、大小数十個の沼が点在する亜高山(あこうざん)の湿地帯です。歩く距離は1.0キロメートル、所要は1.0時間。湿原には木歩道と休憩所が整備されており、水面の上を渡るように歩けます。道の周りに広がるのはブナ林で、葉が落ちたあとは幹の白さと空の広さが際立つ。同じ道でも、訪れる時期で主役が入れ替わります。(2:20)

そろえておきたいのは、トレッキングに適した靴と服装、そして雨具です。木道が中心のコースであっても、山の上の天候は変わりやすいためです。

山越えをする場合は、扱いがひとつ変わります。山を越える人は山頂駅で登山者カードに記入するよう案内されており、片道券で上がって歩いて下るルートは、散策ではなく登山として準備を整えることになります。

はじめての山をガイドと歩くという方法もあります。オーダーメイドトレッキングはガイド1名15,000円から、通年の受付で、予約は5日前まで。申し込みは蔵王温泉観光協会内の蔵王トレッキング係が窓口になります。

花や木の名前を教わりながら歩くと、同じ1時間でも目に入るものの数が変わってきます。

山頂まで上がるか、途中で降りるか。決めるときに効いてくるのが、区間ごとの料金と最終便の時刻です。当日に必要になる数字を、この章にまとめました。記事内の金額はすべて日本円です。

蔵王山麓駅の建物と乗車券売り場
写真:蔵王山麓駅 / 券売所のある山麓側の玄関口

料金は、どこまで上がるかで変わります。

地蔵山頂駅まで(標高1,661m)
【おとな】片道2,200円/往復4,400円
【こども】片道1,100円/往復2,200円

樹氷高原駅まで(標高1,331m)
【おとな】片道1,200円/往復2,200円
【こども】片道600円/往復1,100円

ユートピア夏山リフト
【おとな】片道400円/往復800円
【こども】片道200円/往復400円

※上記の料金は変更となる場合がありますので、出発前に公式サイトでご確認ください。
【参考 公式サイト】蔵王ロープウェイ 料金・営業案内

区分はおとなが中学生以上、こどもが小学生、幼児が未就学児です。未就学児と一緒に乗る予定がある場合は、当日の扱いを蔵王山麓駅の窓口で確認できます。

営業時間は山麓線が8:30から17:00、山頂線が8:45から16:45となっており、地蔵山頂駅行き往復の上り最終は蔵王山麓駅発16:00です。

山頂まで上がる日は、この16:00が一日の折り返し点になります。下りの最終時刻は現地の窓口にも掲示されているので、上る前に一度目を通しておけば、山の上で時計を気にせずにすみます。混み合う時期には臨時運転も行われます。

大きな荷物での移動にも、料金の決まりがあります。荷物運賃は1区間400円で30キログラムまで。膝の上に置けないものは手回り品として1区間300円で、スキーとスノーボードは1台まで無料です。駅で預ける場合は、携帯品一時預かり料が1個1日400円、6日目以降は1日600円となります。

ペットは、夏期として扱われる期間に限り、小型種をハードケースなどのケージに完全に入れたうえで、こども料金で乗車できます。冬期はペットの乗車ができません。紅葉の時期がどちらの期間にあたるかは年によって変わりますので、一緒に上がりたい方は公式サイトで当年の扱いをご確認ください。補助犬(盲導犬・聴導犬・介助犬)は、身体障害者補助犬法にもとづいて無料です。

障害者割引は、身体障害者手帳の交付を受けている方が5割引です。療育手帳の交付を受けている方および介護人も5割引となっており、介護人の割引は、同社が介護を必要と認めた場合が対象です。海外で発行された証明書をお持ちの場合は、出発前に問い合わせておくと当日の扱いがはっきりします。

団体乗車は20名以上で予約が必要で、申し込みは蔵王山麓駅への電話で受け付けています(電話番号は記事末尾の施設情報に記載しています)。団体割引は4区間・20人以上が対象。普通400円引、学生600円引、幼稚園児はこども運賃の400円引で、引率の先生は無料です。

乗車券の払戻手数料は1枚につき100円。予約の案内があるのは団体乗車のみで、個人での利用は当日窓口での購入になります。

蔵王温泉で「ロープウェイ」を調べると、名前のよく似た乗り物が3つ出てきます。索道(さくどう)とは、空中に張ったロープに客車をつり下げて運ぶ乗り物の総称で、ロープウェイもゴンドラリフトもここに含まれます。3つは乗り場も行き先も異なり、行きたい場所から逆算するのが近道になります。なお、蔵王中央ロープウェイと蔵王スカイケーブルは、どちらも蔵王観光開発株式会社が運行しています。

木造の共同浴場が立つ蔵王温泉の街並み
写真:蔵王温泉 / 坂道に共同浴場や宿が並ぶ温泉街

1つ目が、この記事で扱っている蔵王ロープウェイです。蔵王ロープウェイ株式会社が運行し、蔵王山麓駅から樹氷高原駅を経て地蔵山頂駅までを結びます。百万人テラス、蔵王地蔵尊、いろは沼と観松平へ向かうならこの索道です。

2つ目が蔵王中央ロープウェイ。蔵王観光開発株式会社が運行しており、温泉駅から鳥兜駅(とりかぶとえき)までを7分30秒で結びます。高低差524メートルを101人乗りの大型ゴンドラで上がり、蔵王温泉の街並みや山形盆地を眺めながら鳥兜山頂へ。鳥兜駅から徒歩1分の鳥兜山展望台には、蔵王大黒天が祀られています。

3つ目が蔵王スカイケーブルで、こちらも蔵王観光開発株式会社の運行です。上の台駅から中央高原駅までを約8分、4人乗りのゴンドラで結びます。エメラルドグリーンの水面で知られるドッコ沼があるのはこの中央高原で、駅前には蔵王大権現が建てられています。

蔵王には古くから「蔵王地蔵尊」「蔵王大黒天」「蔵王大権現」の三神が祀られており、3つの索道はそれぞれ、その一柱へ向かう道でもあります。三神をすべて参拝する「蔵王三大神めぐり」を目的に、索道を乗り継ぐ方もいます。

蔵王ロープウェイ
【乗り場】蔵王山麓駅
【主な見どころ】百万人テラス、蔵王地蔵尊、蔵王自然植物園、いろは沼、観松平
【運賃】おとな 地蔵山頂駅まで往復4,400円/樹氷高原駅まで往復2,200円

蔵王中央ロープウェイ
【乗り場】温泉駅
【主な見どころ】鳥兜山展望台、蔵王大黒天、山形盆地の眺め
【運賃】大人 往復2,400円/小人 往復1,200円

蔵王スカイケーブル
【乗り場】上の台駅
【主な見どころ】中央高原、ドッコ沼、蔵王大権現
【運賃】大人 往復2,400円/小人 往復1,200円

蔵王中央ロープウェイと蔵王スカイケーブルは運賃表が共通で、片道は大人1,300円、小人650円です。この2つは季節によって運休期間が設けられることもあり、秋の予定に組み込むなら、当日の運行状況もあわせて見ておきます。

※上記の料金と運行状況は変更となる場合がありますので、出発前に公式サイトでご確認ください。
【参考 公式サイト】蔵王中央ロープウェイ・蔵王スカイケーブル

山頂と、麓の温泉街。同じ日でも、体感はずいぶん違います。上着を1枚持つかどうかで、山の上で過ごせる時間が変わってきます。

気温は、標高が100メートル上がるごとにおよそ0.6℃下がるとされています。標高差だけで単純に計算すると、800メートルでおよそ5℃の差。蔵王温泉のバスターミナルと地蔵山頂駅で体感がはっきり変わる背景には、この高低差があります。ただし実際の気温や体感は、その日の天候、風、日差しによっても大きく変わります。

出発前には、山形市街ではなく蔵王山の山頂付近の予報を見ておくと、当日の服装を決めやすくなります。

上と下で気温が変わるなら、脱ぎ着で調整できる服装が心強い味方になります。シャツの上に羽織れる中間着と、風を防げる上着。この2枚があれば、山頂で涼しく山麓で暖かいという往復の落差に対応できます。

10月の山の上では、手袋やニット帽があると手元と耳元がずいぶん楽になります。トレッキングコースを歩く予定があるなら、歩きやすい靴も忘れずに。

蔵王ロープウェイは、天候の状況によって運転を見合わせることがあります。当日の運行状況は、出発前に公式サイトの運行情報で確認できます。

公式のトレッキング案内でも雨具の携行が挙げられており、山の上は天候が変わりやすい場所です。折りたたみの雨具をひとつ荷物に入れておけば、急な雨にも対応できます。

蔵王温泉へは、山形駅からバス1本で向かえます。乗り換えがないので、荷物が多い日でも移動が楽です。

山交バスの蔵王温泉バスターミナルの建物
写真:蔵王温泉バスターミナル / 山形駅からのバスが発着する拠点

起点は、山形新幹線が停まる山形駅です。新幹線は日本の高速鉄道で、東京駅から山形駅まではおよそ2時間30分から3時間。海外から訪れる方は、東京の空港から東京駅または上野駅へ出て、そこから新幹線に乗り継ぐルートが一般的です。

山形駅からは、山交バスのZ90系統が山形駅前1番のりばから蔵王温泉バスターミナルまで走っており、所要時間はおよそ37分。バスターミナルから蔵王ロープウェイの蔵王山麓駅までは、歩いておよそ10分から15分です。坂道の両側に共同浴場や土産物店が並び、硫黄の匂いを含んだ湯けむりが立ちのぼるなかを歩くので、この距離がちょうどよく感じられます。

同じのりばから出る蔵王刈田山頂行きのZ91系統は、バスターミナルの先の「蔵王ロープウエイ前」にも停車します。荷物が多い日は、こちらの時刻に合わせるという手もあります。運賃と当日のダイヤは山交バスの公式サイトで確認できますので、運賃の支払い方法や交通系ICカードが使えるかどうかもあわせて見ておけば、当日は乗るだけです。

車の場合は、山形自動車道の山形蔵王インターチェンジから約35分、東北中央自動車道の山形上山インターチェンジから約25分が目安です。

駐車場は横倉ゲレンデ側にあり、蔵王ロープウェイ第1、第2、第3駐車場として200台ぶんが用意されています。料金の扱いは時期によって変わるため、出発前に蔵王温泉の公式サイトで当日の開放状況と料金を見ておくと、到着後の動きが読めます。

海外から訪れる方がレンタカーを利用する場合は、日本で有効な運転免許証が必要です。多くの国と地域ではジュネーブ条約に基づく国際運転免許証を使えますが、スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾などは、自国の免許証に日本語の翻訳文を添える方式が認められています。ご自身の免許証がどちらにあたるかは、出発前に警察庁の案内かレンタカー会社で確認できます。なお、日本は左側通行です。紅葉の終わりにあたる11月上旬は、山の上で雪や路面の凍結が起きることもあります。冬用タイヤを装着した車を選べるかどうか、予約の段階で確かめておきます。

仙台と蔵王温泉を直接結ぶ高速バス「仙台〜山形蔵王」は、予約制かつ冬季のみの運行です。秋に仙台方面から向かう場合は、いったん山形駅へ出てZ90系統に乗り継ぐルートになります。

ここまでの情報を、朝から夕方までの一日に並べてみます。移動は前の章で確認したので、ここでは現地に着いてからの組み立てです。

白濁した湯があふれる蔵王温泉の共同浴場の湯口
写真:蔵王温泉 / 強い酸性の湯で知られる共同浴場

午前中の早い時間に蔵王山麓駅へ着き、まずは山頂まで通しで上がります。山頂線の運行開始は8:45。地蔵山頂駅で蔵王地蔵尊と駅周辺の遊歩道を歩き、天気がよければ蔵王自然植物園まで足を延ばします。

昼をはさんで樹氷高原駅まで下り、百万人テラスに座って斜面を眺めます。体力が残っていれば、ユートピア夏山リフトに乗り継いで、いろは沼コースを1時間ほどかけて一周。上り最終が16:00であることを踏まえて、午後は下りの時間に余裕を持たせます。

蔵王山麓駅まで降りたら、温泉街へ歩いて向かいます。日が落ちるのが早い季節ですので、明るいうちに移動を終える組み立てにしておけば、最後まで気持ちよく歩けます。

一日歩いたあとに待っているのが、蔵王温泉です。温泉とは、地中から湧き出す湯や鉱水を使った入浴施設のこと。蔵王温泉はおよそ1900年前に開かれたと伝わる古い湯で、江戸時代には蔵王権現への西側の登山口としてにぎわいました。山を歩いた人が湯につかる。この流れは、何百年も前から続いてきたものです。

泉質は強い酸性の硫黄泉で、pHは1.25から1.6。源泉の温度は45℃から66℃、湧き出す量は毎分約5,700リットルにのぼり、「美人づくりの湯」として親しまれてきました。

蔵王温泉の温泉街には3つの共同浴場と3つの足湯、5つの日帰り温泉施設があり、宿泊しない方でも湯めぐりを楽しめます。共同浴場は地域の方も使う共用の浴場、足湯は足だけを湯に浸して温める屋外の施設です。一日歩いた足には、この足湯がよく効きます。

なかでも上湯、下湯、川原湯の3つの共同浴場は、いずれも6:00から22:00まで通年で営業しています。入浴料は蔵王温泉観光協会の案内で大人300円、小人100円。3つとも無人で、入口に置かれた料金箱に納めてから入る仕組みです。

強い酸性の湯なので、金属のアクセサリーは外して入るよう案内されています。また、日本では多くの温泉施設で、タトゥー(入れ墨)のある方の入浴をお断りしている場合があります。入浴の可否は各施設にご確認ください。

※上記の営業時間と料金は変更となる場合がありますので、出発前に蔵王温泉観光協会の公式サイトでご確認ください。

蔵王と一緒によく検索されるのが、お釜(おかま)です。火山の火口に水が溜まってできた火口湖で、蔵王を代表する景色のひとつ。蔵王連峰は山形県と宮城県にまたがっており、お釜があるのはその宮城県側です。蔵王ロープウェイの各駅とは直接つながっていません。

蔵王ロープウェイの公式サイトが案内している徒歩ルートは「熊野岳コマクサ観賞コース(熊野岳・お釜エリア)」で、片道5.0キロメートル・4.0時間の健脚コース。日帰りで紅葉を眺める一日に組み込むには、たっぷりした距離があります。

お釜へ向かうなら、蔵王刈田山頂側から入るのが一般的です。前の章で触れたZ91系統が、8月1日から10月25日まで山形駅と蔵王刈田山頂を毎日結んでいます。本数がかぎられていますので、当日のダイヤを確かめてから予定を組み立ててください。

最後に、出発前に残りやすい疑問をまとめます。

乗車時間は片道で計約17分です。これに樹氷高原駅での乗り換えと、山頂での滞在時間が加わります。写真を撮りながら地蔵尊まで往復するなら、山頂で30分から1時間を見ておくと慌てずに回れます。往復すべてを含めると、山麓駅を出てから戻るまでで2時間前後が目安です。

霧の日には、近くの木々の色がしっとりと濃く見えます。雨に濡れた葉は光を反射しにくくなり、赤や橙が深く沈んだ色合いになります。遠くの眺めを目当てにする日は、出発前に公式サイトの運行情報と天候を確認しておくと、行き先を切り替えやすくなります。

見られる時期が分かれています。樹氷(じゅひょう)とは、木々に雪と氷が厚く着いてできる冬の景観で、英語では snow monsters とも呼ばれる蔵王の名物です。厳しい冬の気象条件が育てる風景なので、秋の紅葉とは別のシーズンになります。樹氷高原駅という駅名から冬の景色を思い浮かべる方もいますが、秋にこの駅で待っているのは紅葉と湿原の景色です。

樹氷高原駅までの往復でも、紅葉はしっかり見られます。運賃はおとな往復2,200円で、地蔵山頂駅までの4,400円のちょうど半分。百万人テラスがこの駅から歩いてすぐの場所にありますので、費用を抑えつつ座って斜面を眺める一日にもできます。山頂まで上がれば蔵王地蔵尊や蔵王自然植物園など立ち寄れる場所が増えますので、時間と体力、そして予算に合わせて選んでみてください。

蔵王ロープウェイの紅葉は、「いつが見頃か」ではなく「どこの見頃を見たいか」で予定が決まります。標高差およそ800メートルが、紅葉前線をひと月ほどかけて山頂から温泉街へと運んでいくからです。

山頂の色を見たいなら9月下旬から10月上旬、いろは沼や観松平の湿原と森を歩きたいなら10月上旬から中旬、温泉街まで染まった景色を見たいなら10月下旬ごろ。3つとも見たいなら、標高帯をまたいで移動できるロープウェイという乗り物そのものが答えになります。

行きたい景色が決まったら、あとは当年の色づきを確かめるだけです。ライブカメラと山形市観光協会の見頃情報を開いて、今年の蔵王がどこまで色づいているか、のぞいてみませんか。

蔵王ロープウェイ(蔵王山麓駅)


基本情報
【住所】山形県山形市蔵王温泉229-3
【電話番号】023-694-9518

【運行時間】
山麓線 8:30〜17:00
山頂線 8:45〜16:45
※2026年8月時点

【上りの最終】
蔵王山麓駅発 16:00(地蔵山頂駅行き往復)

【そのほか】
天候状況により運休あり。多客時は臨時運転
団体乗車は20名以上で予約が必要(蔵王山麓駅へ電話)
乗車券払戻手数料は1枚につき100円

アクセス情報

【電車とバス】
山形新幹線 山形駅 下車
↓ 山交バス Z90系統(山形駅前1番のりば)約37分
蔵王温泉バスターミナル
↓ 徒歩約10〜15分
蔵王ロープウェイ 蔵王山麓駅

【車】
山形自動車道 山形蔵王ICから約35分
東北中央自動車道 山形上山ICから約25分

【駐車場】
横倉ゲレンデ側の蔵王ロープウェイ第1・第2・第3駐車場 200台

【バスの問い合わせ】
山形交通バス案内センター 023-632-7272

【トレッキングの相談】
オーダーメイドトレッキング
ガイド1名15,000円〜/通年/5日前までに予約
受付 蔵王温泉観光協会内 蔵王トレッキング係 023-694-9328

※所要時間・運賃・駐車場の台数と料金は変更となる場合がありますので、出発前に公式サイトでご確認ください。

【公式サイト】https://zaoropeway.co.jp/

この記事を書いた人
最終更新日 : 2026年9月8日
日本
有田 和義(Kazuyoshi Arita)
エンタメ大好きなアラフォーライターです
山形県山形市 蔵王ロープウェイの紅葉は標高差約800mで見頃が変わる
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