動物園について

動物園とは

動物園とは、生きた動物を飼育・研究し、一般に公開をしている施設のことを指します。
一般的には陸上の動物を中心として扱っている施設のことで、水中の動物を中心として扱っている施設のことを『水族館』と呼ばれています。

紹介した二つ以外にも、動物園の特殊な形態としてサファリパークや移動動物園、鳥類園、クマ牧場などがあり、植物園が併設された施設のことは動植物園と呼ばれています。

ここでは、そんな動物園の歴史と日本各地にある動物園を紹介していきます。

動物園の歴史

初期の動物園は、主に王侯は所有し政治的に修好関係を結んでいる、又は影響下に置いたり植民地として支配した国・地域に居る珍しい動物を集めてきた私的な施設でした。

一般公開をされた動物園として最も古いのは、フランス革命の後に公開されたパリ動物園とされていますが、パリ動物園の施設や展示方式がオーストリア・ウィーンのシェーンブル宮殿脇に建てられたシェーンブルン動物園を真似たものとなっており、期間限定ながらシェーンブルン動物園の方が先に一般開放された事実から、シェーンブルンを世界最古の動物園としている説も存在しています。

近代の動物園は単なる見世物ということではなく、教育・研究施設としての役割を強く持つべきであると考えられており、生きた動物を生きたまま収蔵している博物館としての側面が強くなっています。
最初の科学的動物園であるイギリスのロンドン動物園は1828年にロンドン動物学会の緩急資料収集施設として創設されたが、研究費用を工面するための方法として、一般公開をされることとなりました。
動物園は英語で『zoological garden』、意味は動物学的庭園で、これを縮めて『zoo』という呼称にし、ロンドン動物園から動物園を指す言葉として一般化されました。

そして1907年、動物商であったドイツのカール・ハーゲンベックによって、動物を野生のままに展示する、檻の中に閉じ込めるのではなく、野生の整体のまま観察出来る今のような動物園を作りました。
この動物園の方式を『ハーゲンベック』方式と呼ばれています。

日本最初の動物園は1882年に、上野恩賜公園内に恩賜上野動物園の前身が作られたのが始まりとされています。
法令上、日本では動物園を博物館の一種に分類されています。

動物園に展示されている動物と展示方法

①動物園に展示される動物
動物園には、主に陸上に生息している比較的大型の哺乳類や鳥類が多く展示されています。
園によっては他にも、昆虫館や水族館も同時に併設することで、昆虫類や水棲動物(爬虫類・魚類・両生類など)を展示している場所も存在します。

他にも、こども動物園としてニワトリやアヒル、ウサギなどを家畜として放し飼いにし、触れることの出来る子供を対象にした施設もあります。
それ以外にも、クマ牧場みたいな一匹の人気動物を中心とした施設も存在します。

②動物園の展示方法
・形体展示
はく製や標本・絵や写真を使って生物を見せる展示形態。

・生体展示
生きた個体を展示している一般的な動物園の展示形態。

・分類展示(分類学的展示)
同じ種類でありながら姿形が違う生物をまとめ、見比べる出来るようにしている展示形態。

・地理学展示(地理学的展示)
同じ地域に生息している生物をまとめ、見比べ出来るようにしている展示形態。

・無柵放養式展示(ハーゲンベック方式)
従来の檻や柵などの遮断物を用いない展示方法で、生物を自然で生活しているままに鑑賞出来るようにした展示形態。

・単一展示
同一種類の生物だけをまとめて見ることが出来る展示形態。

・混合展示
複数の種類の生物を同じ施設内で見ることが出来る展示形態。

・形態展示
生物の身体的特徴を見せることに特化した、生物が生きているだけの展示形態。

・生態展示
ランドスケープ・イマージョンなどを使用して、生物が野生で生息している環境を再現した展示形態。

・行動展示(行動学的展示)
動物の特技や特徴などの内包している能力を、鑑賞している人達に見せるように工夫されている展示形態。

日本各地にある有名な動物園一覧

・多摩動物園
東京都日野市にある正式名称『多摩動物公園』の動物園です。
恩賜上野動物園と並ぶ日本有数の動物園として有名となっています。
展示方法は地理学展示を採用しており、地域ごとの色んな動物を一度に見ることが出来ます。

・上野動物園
東京都台東区上野公園の上野恩賜公園内に位置するジャイアントパンダのシャンシャンを展示していたことでも有名な東京都立動物園。
開園は1882年3月20日と日本の動物園では最も古い動物園となっています。
希少動物を始めて500種以上の動物を飼育しており、形態展示を採用しています。

・井の頭動物園
井の頭自然文化園の別名で、東京都武蔵野市にある都立の動物園。
大型動物で人気なアジアゾウを始めとして、ニホンカモシカやアライグマも飼育、動物と触れ合いのできる場も設けられている地元住民の憩いの場となっています。

・アドベンチャーワールド
和歌山県西牟婁郡白浜町にある動物園・水族館・遊園地が一体となったテーマパーク。
動物園としては動物を間近で観察出来る『サファリワールド』にジャイアントパンダを展示している『パンダラブ』、カピバラやサルなどと触れ合える『ふれあい広場』やフラミンゴやレッサーパンダも見れる『フラミンゴ広場』など、それぞれの動物に焦点を当てた展示をしています。

・旭山動物園
正式名称『旭川市旭山動物園』の北海道旭川市東旭川町倉沼にある動物園。
日本にある最北の動物園とされており、行動展示を実地して一躍有名動物園となり、今では北海道を代表する観光地の一つとなっています。 行動展示のほかに、混合展示も実地しています。

・野毛山動物園
神奈川県横浜市西区老松町の野毛山公園にある動物園。
関東に数多る動物園の中でも、種類にして100にもなる1000店以上の動物を擁しています。
更に動物園に併設して爬虫類専用展示館があり、ワニやカメを見ることが出来ることでも有名です。

・神戸どうぶつ王国
兵庫県神戸市中央区のポートアイランドにある関西でも有数の動植物園。
花と鳥を中心として多数展示をされている温室には数多くの鳥が放し飼いとされていることで有名です。
この動物園の魅力は展示動物の多くと触れ合ったり餌を与えることが出来る点で、家族連れにおすすめの動植物園となっています。

・東武動物公園
埼玉県南埼玉郡宮代町と白岡市にある正式名称『ハイブリッド・レジャーランド東武動物公園』と呼ばれるレジャーランド。
動物園としてだけでなく、レジャー施設やイベント会場としての運営形態をとっていることで有名となりました。

・鹿児島市平川動物公園
鹿児島県鹿児島市平川町にある遊園地も併設されている動物園。
無柵放養式展示の施設を数多く有しており、かなり近くで動物の生態を楽しむことが出来る動物園です。

・神戸市立王子動物園
兵庫県神戸市灘区の王子公園内にある動物園。
現在、日本で唯一ジャイアントパンダとコアラを同時に見ることが出来る動物園とされています。
動物園の他に、上映設備のある動物科学資料館や遊園地が設置されていることが特徴となっています。

・九州自然動物公園アフリカンサファリ
大分県宇佐市安心院町南畑にある日本最大級と称されるサファリパーク形式の動物園。
70種類の1300頭もの動物が飼育をされており、6㎞にもなるサファリロードを自家用車やジャングルバスに乗車して迫力ある動物を間近で楽しめる『動物ゾーン』と小動物との触れ合いを重視した『触れ合いゾーン』の二種類のエリアを堪能出来ることが特徴となっています。

・東山動植物園
愛知県名古屋市千種区東山元町の東山公園内にある市営動植物園。
2017年時点での飼育種類数は日本一、敷地面積も日本最大級となっています。
2017年の年間入場者数だけを見ると、日本国内では上野動物園に次ぐ240万人と、人気の高さが伺えます。
中には動物園・植物園・東山スカイタワー・遊園地が併設されています。

・札幌市円山動物園
北海道札幌市中央区宮ケ丘の円山公園内にある動物園。
1950年、札幌にて開催した上野動物園の移動動物園が起源となっています。
飼育下での自然繁殖が難しいとされているホッキョクグマの繁殖に2000年以降成功している数少ない動物園となっています。

・富士サファリパーク
静岡県裾野市須山字藤原2255-27にあるサファリパーク形式の動物園。
日本最大級のサファリパークで、屋外に設定されているコースをマイカー・専用バス・GPS搭載のサファリナビゲーションカーで走行し、間近で動物を観察することが出来ます。
他にも、サファリゾーン外周を歩く自然散策や動物観察が出来るウォーキングサファリ、実際に触れ、餌やりのできるふれあい広場、猫や犬の館などの他施設も沢山あります。

大人になって更に楽しめる動物園

子供が遊びに行く場所としても非常に人気の動物園という施設ですが、大人になると動物達の生態や行動を注視して見てみるといった、また違った楽しみ方が出来ます。

動物園はそれぞれが違った種類の動物や展示形式を採用しています。