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龍安寺 動画紹介

今回ご紹介する動画「Ryoanji Temple - Kyoto - 龍安寺」は、京都屈指の禅寺「龍安寺(りょうあんじ)」を簡潔に美しくまとめた映像作品です。石庭の全景を中心に、背景に広がる静寂と日本文化の深さを感じさせる構成が魅力。短時間ながら、枯山水(かれさんすい)の世界観がしっかり伝わる内容となっています。

京都市右京区にある龍安寺とは?

龍安寺はどこにある?
龍安寺は、京都市右京区に位置する臨済宗妙心寺派の禅寺(ぜんでら)です。
※禅寺とは、禅宗の教えを伝える仏教寺院で、座禅・修行・静寂・無心など精神修養を重視するのが特徴です。

京都・龍安寺の新緑の画像
写真:京都・龍安寺の新緑

観光地として有名な金閣寺からも徒歩圏内にあり、同じく世界遺産の仁和寺や妙心寺にも近く、禅の文化を体感できるエリアとして人気があります。
有名な観光地に比べて比較的人が少なく、静かに庭園を楽しみたい方にはぴったりの“京都の穴場”スポットです。

なぜ世界遺産に登録された?
龍安寺は1994年、「古都京都の文化財」の一部としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。その最大の理由は、枯山水庭園の究極形とも言える石庭の存在。シンプルながら哲学的な構造と美的価値が世界に認められたのです。

エリザベス女王も訪れた?
龍安寺の国際的な注目を高めたきっかけの一つが、1975年にイギリスのエリザベス女王が訪問したことです。彼女は石庭の前に静かに座り、「この庭には何か説明できない魅力がある」と語ったと伝えられています。以降、外国人観光客にも禅文化の象徴として広く知られるようになりました。

龍安寺の歴史と背景とは?

京都市の龍安寺の画像
写真:京都市の龍安寺

もともとはどんな場所だった?
龍安寺のあるこの地は、もともと平安時代に豪族・藤原氏の別荘地として使われていたと伝えられています。静かな山裾の立地は、貴族が四季折々の自然を楽しみ、詩歌や茶の湯に親しむには理想的な空間だったと考えられます。
その後、室町時代の1450年、将軍家の重臣である細川勝元が、徳大寺家の別荘地を改めて禅寺とし、龍安寺を創建しました。当時は応仁の乱(1467年〜)を間近に控える緊張の時代であり、武士たちは精神的安らぎと教養を求めて禅宗を庇護しました。龍安寺もその流れの中で整備され、現在のような禅寺の姿になったのです。
龍安寺という名称は「龍が安らかに眠る地」を意味し、禅における精神の平穏や無我の境地を象徴しています。自然と人為が調和するこの寺院には、当時の知識人・僧侶たちの思想が深く根づいています。

済宗妙心寺派とは?

京都・龍安寺の石像の画像
写真:京都・龍安寺の石像

龍安寺は臨済宗妙心寺派という禅宗の一派に属しています。臨済宗(りんざいしゅう)は、中国・唐代の禅僧「臨済義玄(りんざいぎげん)」の教えを源流とし、鎌倉時代に日本に伝えられました。特徴は、座禅だけでなく、日常の行為や問答を通して悟りを得るという実践的なスタイルです。
妙心寺派はその中でも最大規模の宗派で、京都の妙心寺を本山とし、全国に約3,400の末寺を持つ宗団です。
境内では、修行僧が朝夕の勤行を続けており、観光の場でありながら今なお現役の修行寺としての面も持ち合わせています。

火災や再建の歴史は?

京都の龍安寺・方丈の勅使門 の画像
写真:京都の龍安寺・方丈の勅使門

龍安寺はその長い歴史の中で、何度か災難にも見舞われています。中でも1797年の火災では方丈(本堂)を含む主要な建物が焼失しました。この火災は周辺地域にも被害を与える大火事だったと伝えられており、現在の方丈は1606年(慶長11年)に建てられていた塔頭・西源院の建物を移築したものといわれています。
その後も明治期や戦後にも一部修復や保存整備が行われており、今の美しい姿は多くの人々の手によって守られてきた賜物です。建物だけでなく、庭園も時代に応じて整備されており、現在の石庭は20世紀後半に文化財保護の観点から再調査・復元が行われています。現代に残る静謐な空間は、そうした努力の積み重ねの成果なのです。

龍安寺の枯山水石庭の魅力とは?

京都・龍安寺の石庭と紅葉の画像
写真:京都・龍安寺の石庭と紅葉

石庭のサイズと構造は?
龍安寺の石庭は、東西約25メートル、南北約10メートル、面積約250平方メートルの長方形で、白砂を敷き詰め、15個の石を5つの石組(5・2・3・2・3)に分けて配置しています。方丈の縁側から鑑賞する形式で、三方(東・南・西)を築地塀に囲まれています。
石は苔に囲まれて小島のように見え、砂には熊手で引かれた波紋が施されています。壁面の古びた土塀も庭の一部として設計されており、年月の変化が趣を深めています。

枯山水とは何?

日本庭園・枯山水の画像
写真:日本庭園・枯山水

枯山水(かれさんすい)は、水を使わずに石・砂・苔などの素材で自然の風景を象徴的に表現する日本独自の庭園様式です。禅宗寺院に多く見られ、精神修養や瞑想のための空間として機能します。
砂は川や海の流れ、石は山や島を象徴するとされ、自然を抽象的・象徴的に表現することにより、観る者の内面に問いを投げかけます。

石は何を意味しているの?
石庭に配置された15個の石には、明確な意味は伝わっていません。しかしその謎こそが、多くの人の興味を惹きつける要素にもなっています。

京都・龍安寺の枯山水の画像
写真:京都・龍安寺の枯山水

最も有名なのが「虎の子渡し」と呼ばれる説。これは、虎が子どもを連れて川を渡る様子を石と砂で表現しているというものです。大きな石が親虎、小石が子虎、白砂は流れる水を象徴しています。
その他にも「海に浮かぶ島々」を象徴している説や、「無限や空の概念」を表す抽象芸術としての解釈もあります。明確な正解がないからこそ、訪れるたびに新たな視点でこの庭を見直すことができるのです。

また、「すべてを理解しようとしない」「見るたびに自分の内面が映る」という禅的な思想が、この石庭には強く込められています。

なぜ1つの石が必ず見えない?
この石庭の最大の特徴は、どの位置から見ても15個すべての石が同時に見えないという点です。これは偶然ではなく、明らかに計算された設計だと考えられています。この設計には「人は完全な真理をすべて見ることはできない」という禅の思想が込められているともいわれています。
観賞する位置によって庭の印象が変化し、観る者自身の精神状態が映し出されるような感覚を与える、まさに哲学的空間となっており、禅の本質として訪れる者に深い思索を促す仕掛けといえるでしょう。

龍安寺の拝観情報と楽しみ方とは?

拝観料・拝観時間は?
龍安寺の拝観料は、大人600円、高校生500円、小・中学生300円(2024年6月時点)。
拝観時間は3月〜11月が8:00〜17:00、12月〜2月は8:30〜16:30です。
年中無休で開門しており、早朝や閉門直前は比較的空いており、静かに鑑賞するにはおすすめです。

アクセスは?どの駅が最寄り?
最寄り駅は京福電鉄(嵐電)北野線の「龍安寺駅」で、そこから徒歩約8分。また、京都駅からは市バス50系統で約30分、「竜安寺前」バス停で下車すぐです。「立命館大学前」バス停からも徒歩約10分となっています。

ベストな訪問時間帯・季節は?
春は新緑、秋は紅葉と、季節によってまったく異なる表情を見せてくれるのが龍安寺の魅力。特に11月中旬の紅葉シーズンは石庭と赤く色づいた背景が写真映えするとSNSでも話題です。

インスタ映えスポットは?
人気の撮影スポットは、方丈の縁側から石庭を一望できるポイント。また、方丈の中から柱越しに見える構図も静寂とバランスが強調され、インスタ映え抜群。鏡容池の水面に映る紅葉も見逃せません。

周辺には何がある?

金閣寺の画像
写真:金閣寺

周辺には金閣寺(東へ約1.5km、徒歩約18分)、仁和寺(西へ約0.8km、徒歩約11分)、妙心寺(南東へ約1.4km)など、禅宗の名刹が集中しています。「きぬかけの路」と呼ばれる観光コースとしても有名で、抹茶カフェや甘味処なども充実しています。

まとめ:龍安寺はなぜ今も人々を惹きつけるのか?

龍安寺の魅力は、その静けさ、視覚の妙、そして意味の奥深さにあります。枯山水庭園という一見シンプルな構成の中に、無数の解釈と美的体験が詰まっているからこそ、エリザベス女王をも魅了したのです。
京都旅行を計画しているなら、喧騒から離れて静かに思索するひとときを過ごせる龍安寺は、まさに「知る人ぞ知る名所」。哲学と美が融合したこの空間を、ぜひ一度その目で確かめてください。

【公式サイト】http://www.ryoanji.jp/smph/

この記事を書いた人
最終更新日 : 2020年9月15日
日本
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京都市右京区の龍安寺とは?枯山水の石庭とエリザベス女王も魅了した空間
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