電車とは
動力源に電力を用いる鉄道車両(電気車)の内、それ自身に旅客や貨物を乗せる設備を搭載している車両の総称が電車です。
また、電車の内、動力を持つ車両に対しては電動車、電動車と編成を組む動力を持たない車両を付随車と呼びます。
電車を駆動する際に必要な電力は、集電装置によって外部から取り込んでいるか、車載に搭載された蓄電池を使用するといった二通りで供給されています。
それ以外の、車上の内燃機関で発電機を稼働させて電力を供給している車両は『電気式気動車』と呼ばれており、こちらは『電車』には含まれません。
元々は自走式の『電動機付き客車(電動客車)』、及び事業用車を含む『電動機付き貸車』の略称が『電車』でしたが、現在では一般名詞となり、運輸事業者や車両製造会社の間でも当たり前のように用いられるようになりました。
現在ではJRを主とした公共交通機関として、歩いて行くには距離のある移動や通勤の際に多くの人々に利用されている無くてはならないものの一つである電車ですが、自然と乗るものであるだけに、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、そんな電車の歴史や構造、そして種類等について詳しく紹介をしていきます。
電車の歴史について
電車は、1879年にドイツのベルリン工業博覧会にて、現在の電気機関車が人の乗った客車を牽引して披露されたのが最初とされています。
そこから2年経った1881年、同じくベルリンにおいて世界最初の路面電車が営業運転を開始、そこから更に2年経った1883年にフランスとイギリス、そして1895年にはアメリカと、続々と各国で電車の営業運電が開始されることとなりました。
1895年には日本国内でも広まることとなり、主に日本においては電化区間では新幹線を始め、都市周辺の通勤路線や地方の在来線にいたるまで電車主体の運航となっています。
電車の構造について
ここでは、主な電車に備えられている構造を順番に紹介していきます
1.走り装置
黎明期の小型車や路面電車では、二軸式(単車とも呼ばれる)が普及したが、現在の高速電車では、連接式を含めてほとんどが『車体に対して水平方向に回転可能な装置を搭載している』ボギー式と呼ばれる作りをしています。
直流電動機の直並列制御を用いるのが一般的とされている電車は、電動機が偶数個である必要がある為、同軸も偶数となっています。
片ボギー式と呼ばれるものの採用例は特殊なケースを除くと無いとされています。
2.動力
線路の上級に設置されている架線(架空電車線)、又は線路脇に設置されている第三軌条に接した集電装置(パンダグラフやトロリーポール、集電靴など)から、また、蓄電池式のものは蓄電池から電流を車両内の回路へと取り入れています。
電車に取り入られた電流はまず断流器を通過、主制御器へと流れていきます。
また、交直流電車は交流電流を使用する必要があり、その場合は主制御器に入る前に変圧器で特別高圧から高圧に電圧降下され、整流器で交流を直流に整流します。
交流型電車では、交直流電車と同じく特別高圧から高圧に電圧降下、そこから主制御器のVVVF制御やサイリスタ位相制御に送られます。
主制御器へと流れた電流は電圧を制御した後駆動系へと流れ、動力台車にそうかをされている主電動機を駆動させます。
3.制御
複数車両が連結された場合、総括制御が行われることとなります。
この総括制御とは、先頭車両の運転席に設けられているマスター・コントローラー(通称:マスコン)を操作することによって、2両目以降の車両にも電気信号によって指令が送られて、編成されている全ての車両の駆動や電気ブレーキを操作することです。
電気信号は、車両の連結面下部にあるジャンパ栓や連結器下部の電気連結器(電連)を介して送られています。
4.ブレーキ
日本の電車は法規上で2系統以上のブレーキを装備することが義務付けられており、どの電車にも留置用の機械ブレーキと、制動用の空気ブレーキが備えられています。
超低床電車と呼ばれているものの一部には圧縮空気を利用した機構を一切用いないエアレス式と呼ばれるものがあり、その場合に限り電気ブレーキのみを常用して、停車直前には機械式ブレーキを用いることとなります。
空気ブレーキは、単行電車では直通ブレーキ、連結運転では自動ブレーキが用いられています。
現在では電磁直通ブレーキや電気指令式ブレーキが一般的な常用ブレーキとして電車に備えられています。
その他にも、電動機の発生電流を車上の抵抗器で熱へと換える『発電ブレーキ』、架線や第三軌条に返す『電力回生ブレーキ』、電磁誘導を利用した『渦電流ブレーキ』、そして電磁石をレールに吸い付ける『電磁吸着ブレーキ』などがあります。
多種にわたる電車の種類について
移動手段として優秀な電車ですが、今では一口に電車と言っても様々な種類があり、「これ本当に電車なの?」と思わず言ってしまうようなものまで存在します。
ここでは、そんな電車の種類をいくつか紹介していきます。
1.路面電車
主に道路上に敷設された軌道(併用軌道)を用いて路面鉄道を走行する電車。
車と同じように道路上を走っている電車で、市内間の比較的胆力の旅客輸送手段として用いられており、主に観光や通学に使われています。
2.モノレール車両
1本の軌条により進路を誘導されては走る軌道系交通機関です。
強度のある鉄のレール上を鉄の車輪で走る『鉄道』の仲間で、ゴムタイヤで走行をしているのがこちらの『モノレール』となっています。
コストの低い新交通システム車両として、鉄道の代わりとなると期待が集まっていましたが、思ったりよりもコストが低くなかったことで既に普及をしていた鉄道の代わりになることはなく、今でも数える程くらいにしか営業をしていません。
3.寝台電車
夜行電車に寝泊り出来る施設が搭載された電車で、寝台列車が元となって開発をされました。
夜間から睡眠を取りながら遠くへと移動できるということで非常に人気となり、数が多いわけではありませんが、それなりに普及をしている電車です。
4.トロリーバス車両
道路上空に張られている架線から取った電気を動力としては知っているバスで、路面電車とバスの長所を持った見た目はバスの電車です。
トロリーとは集電装置のことで、トロリーバスは日本語で無軌条電車と訳すことが出来ます。
現在は自動車交通量の増加、そして上位互換となるディーゼルエンジンやハイドブリッド方式の大型路線バスが登場したことにより廃止、市街地を走っていたトロリーバスはすべて廃止されることとなりました。
今では営業をしていないながらも、珍しいであろう電車を含めた4つを紹介させて頂きました。
一般的に電車は備えている機能や事業形態、駆動系によって分類されるので、以下ではそちらを簡単にまとめさせて頂きました。
1.旅客列車分類
旅客電車は多くの分類で分けられており、まず輸送形態で分類されるのが、200㎞/h以上の速度で拘束運航する高速列車、都市と都市を結ぶ都市間列車、郊外都心部を結ぶ通勤客を輸送する通勤列車、夜間を通じて運行される夜行列車などがあります。
また、電車種別でも分類をされており、こちらには各駅停車の普通列車、普通列車よりも停車駅を少なくして速達輸送をする快速列車、主要駅にのみ停車する急行列車が挙げられます。
2.備えている機能による分類
・制御者
・電動車
・制御電動車
・付随車
3.事業形態による特別な区分
・新幹線
・路面電車
・LRT(ライトレール)
・新交通システム車両(モノレール等)
・モノレール車両
・トロリーバス車両(無軌条電車)
4.駆動系による分類
・吊り掛け駆動方式
・カルダン駆動方式
・中空軸平行カルダン駆動方式
・WN駆動方式
・TD平行カルダン駆動方式
・直角カルダン駆動方式
・リニアモーター駆動
5.電力による分類
・直流型電車
・交流型電車
・交直流電車
6.電源による分類
・架空電車線方式
・第三軌条・第四軌条方式
・蓄電池式
・非接触式
日本の人気交通手段の電車
料金も他の公共交通機関と比べても安価で、社会人や学生が主に利用する交通機関として、満員電車と呼ばれる現象が起きるくらい多くの人々に重宝をされています。
慣れていないと乗り換えや混雑の不便さに頭を悩ませることもありますが、現在では乗換案内や運行状況、時刻表の情報をネットで確認も出来るので、それらを活用することで更に利用のしやすい交通手段になるでしょう。