温泉(源泉)について

温泉とは

温泉とは、地中から湯や熱水泉が吹き出している場所のことをいいます。
温泉の熱源は大きく分けて、地下のマグマから吹き出す火山ガスによる火山性温泉と、地熱によって地下水が温められ得る非火山性温泉があります。
中には、熱源が不明となっている温泉もあります。
熱水が吹き出す場所を整備して入浴施設にしたものが温泉地です。

日本は火山が多いこともあり、世界有数の温泉大国として知られています。
環境省の統計によれば、現在日本全国には3000以上もの温泉地があります。
最も温泉地が多いのは北海道で、その数は251にも及びます。
逆に温泉が少ないのは沖縄県で4つとなっています。

日本の温泉の歴史

日本の温泉の歴史は古く、なんと『日本書紀』にも温泉に関する記述が残っています。
玉造温泉や有馬温泉、道後温泉や白浜温泉、秋保温泉などは平安時代前からすでに温泉として活用されていたといわれる、現存する日本最古の温泉です。
平安時代には、国内の神社について記す『延喜式神名帳』に、温泉の神を祀る温泉神社などが記載されています。

鎌倉時代以降には、温泉を医学的に活用しようという動きが広がってきました。
一遍などの僧侶が施浴をしたことで入浴の習慣が一般的になり、元寇の負傷者が温泉で保養するなどして実用性が高まっていきました。
戦国時代には武田信玄や上杉謙信といった武将が温泉を愛用したといいます。
江戸時代には農閑期になると温泉宿に湯治客が訪れるようになり、各地では宿泊客が増えるなど現在の温泉地に近いスタイルになっていきます。
明治期以降には温泉の掘削技術が普及し、日本各地の温泉街の設備が整えられました。

昭和期には九州大学が別府温泉に温泉治療学研究所を設置するなど、現代では温泉の成分が科学的に研究されるようになります。
研究によって温泉のもつ医療効果が実証されたことから、温泉利用者も爆発的に増加しました。
また、昭和期には家族で楽しむレジャーの一環として、全国にリゾートのような賑やかなイメージの温泉宿がたくさん作られました。
近年では、温泉の健康効果を活用しようという思いから、病院と温泉を連携させて人間ドック突き宿泊プランを提供する温泉宿もあります。
また、福島県には競走馬リハビリテーションセンターとしてケガをした馬が入れる温泉も用意されています。

日本の温泉の成分や効能とは?

日本の温泉は、温泉法と呼ばれる決まりや、観光症の鉱泉分析法指針によって定義されています。
地表などの湧出口から出る温泉水の温度によって、温泉は冷鉱泉・微温泉・温泉・高温泉の4種類に分けられます。
また十分な湧出量があることや、お湯の中に溶け出している溶解成分(泉質)があることも温泉の重要な要素です。
日本の温泉に溶け出している成分には、リチウムイオンやストロンチウムイオン、バリウムイオン、フッ素イオン、ヒ酸水素イオン、メタ亜ヒ酸、メタホウ酸、硫黄、メタケイ酸、ラドン、ラジウムといった種類があります。

これらの成分には疲労回復のほか、神経痛や筋肉痛の改善、肩こりや腰痛の解消、疾患の緩和、美肌効果や健康増進効果など多くの効能があります。
温泉の提供形態には、お湯を再注入する循環式と、お湯を再利用しないかけ流しがあります。
循環式の温泉は一度利用したお湯をろ過し、加熱処理して再注入するので衛生上の問題はありません。
しかし、近年では「源泉かけ流し」を好む温泉利用者が増加しています。

日本国内にはどんなタイプの温泉がある?

レジャーのため、リラックスするために温泉旅行に行く方は多いものです。
温泉郷や温泉街と呼ばれるエリアには数多くのホテルや旅館があり、ゆったりと入浴を楽しめます。
温泉施設の中には宿泊プランのほかに日帰り入浴のプランを用意しているところもあり、気軽に温泉に立ち寄れることから人気を集めます。

日本には、天然の温泉だけでなく人工温泉という形の施設もあります。
近年では人工温泉の設備を整えたスーパー銭湯と呼ばれる温泉も増加しています。
スーパー銭湯はリーズナブルな料金で利用できる郊外型の温泉で、ジャグジーやサウナ、露天風呂などの設備のほか、レストランも完備しているので便利です。
もちろん、人工温泉だけでなく天然温泉を引いたリゾート風のスーパー銭湯もあり、連日多くのお客さんで賑わいます。
昔ながらの町には、地元の人が利用する銭湯がたくさんあります。
一般的な住宅の浴室が快適なものとなりつつあることから町の銭湯は減少傾向にありますが、それでも地域によってはレトロな雰囲気の銭湯を愛用している人が多いものです。

温泉にはどんな入浴方法がある?

温泉というと大浴場にゆったりと浸かるイメージがありますが、それ以外にも温泉にはさまざまな楽しみ方があります。

打たせ湯:滝のように落ちるお湯を体に打たせて疲れを取る入浴法です。
立ち湯:立ったまま入れる深い温泉も各地にあります。
寝湯:浅い温泉に寝転ぶようにする入浴法です。
足湯:足だけを浸けられる温泉は気軽に利用できるのが魅力です。
蒸し湯:石室や箱むしといった種類の蒸し湯があります。
砂湯:熱を持った砂の中に埋まるような形の変わった温泉です。
岩盤浴:温かい岩盤の上で横になって汗を流すサウナ形式の温泉です。
泥湯:泥のようなにごりをもつ温泉もあります。

温泉入浴だけでなく、温泉泥や湯の花が入浴剤やスキンケアアイテムとして販売されることもあります。
また、温泉の熱で魚や野菜を蒸す地獄釜や、卵を茹でる温泉卵など、温泉は食品加工にも活用できます。

人気温泉地のランキングをチェックしよう!

大手旅行サイト楽天トラベルが発表した、2020年上半期人気温泉地ランキングは以下のようになっています。
カップルや家族、女子旅、グループ旅行におすすめの温泉ばかりなので、気になる温泉があればぜひ足を運んでみましょう。

1位 熱海温泉(静岡県)
2位 別府温泉(大分県)
3位 草津温泉(群馬県)
4位 函館温泉・湯の川温泉(北海道)
5位 鬼怒川温泉(栃木県)
6位 下呂温泉(岐阜県)
7位 秋保温泉(宮城県)
8位 白浜温泉(和歌山県)
9位 那須温泉(栃木県)
10位 伊東温泉(静岡県)
11位 伊香保温泉(群馬県)
12位 箱根湯本温泉(神奈川県)
13位 強羅温泉(神奈川県)
14位 有馬温泉(兵庫県)
15位 城崎温泉(兵庫県)
16位 道後温泉(愛媛県)
17位 越後湯沢温泉(新潟県)
18位 鳥羽温泉郷(三重県)
19位 由布院温泉(大分県)
20位 定山渓温泉(北海道)

熱海や箱根、草津や鬼怒川といった温泉地は、東京や埼玉、神奈川といった関東近郊エリアから近く気軽に足を運べます。
関西エリアであれば有馬温泉や城崎温泉、白浜温泉などへの旅行が人気です。
東海圏の方は下呂温泉や鳥羽温泉郷に行くことが多いようです。

日本には秘湯と呼ばれる温泉もある

日本には、ご紹介したような有名温泉地だけでなく、訪れる人の少ないひっそりとした温泉もたくさんあります。
ほとんどの秘湯は山奥など人気がなくアクセスの悪い場所にあり、温泉の周辺も整備されていないことがほとんどです。
代表的な秘湯としては、富山県の標高約2,100メートル地点にあるという高天原温泉が挙げられます。
ほかに富山県の仙人温泉、福島県のくろがね温泉、長野県の白馬鑓温泉、本沢温泉など、秘湯は各地にあります。
これらの秘湯を訪れるときには登山の装備を用意し、山道を数時間歩かなくてはならないので大変です。
しかし、たどりついた温泉は絶景に包まれており、お湯の癒し効果も格別です。

日本の温泉で癒しの時間を過ごそう!

日本国内には、誰もが知る有名温泉郷から、知る人の少ない秘湯と呼ばれる温泉まで、たくさんの温泉があります。
温泉の形式も一般的な大浴場だけでなく、男女が水着や混浴着などを身に着けて一緒に入れる混浴風呂、家族で楽しめる家族風呂などさまざまです。
ゆったり過ごせて健康効果も得られるのが温泉の魅力です。
ときには家族や友人、大切な人と、またお一人でゆっくりと、癒しの温泉に出かけてすばらしいひとときを過ごしてみてくださいね。