すき焼きについて

すき焼きとは

すき焼きとは、牛肉などの肉と野菜や豆腐、こんにゃくなどの具材を浅い鉄鍋で焼いたり煮たりする日本の伝統的な和食・日本食料理です。
すき焼きの一般的なレシピは薄切りにした牛肉を牛脂で炒め、その油を使って割り下と呼ばれるだしや砂糖、醤油、酒などを合わせた調味料で煮込みます。
そこにネギや白菜、春菊、しいたけ、えのきたけ、焼き豆腐、しらたき、麩などの食材を入れます。
ある程度煮立ったものに溶いた生の鶏卵を絡めて食べます。
日本食の代表的なメニューですが、日本人が日常的に食べるというわけではなく、特別な日にすき焼き肉を購入して家族団らんでいただくのが一般的です。

すき焼きの歴史

江戸時代には魚介類と野菜を杉材の箱に入れて味噌で煮込んだ料理を「杉焼き」と呼んでいました。
さらに文政12年の「鯨肉調味方」には使い古した鋤(かも)を火にかざして鴨などの鶏肉や鯨肉や魚類を加熱する鋤焼・銚焼という調理法が発達していきました。
これらが現在のすき焼きの起源となりますが、すき身の肉を使うことから「すき焼き」と呼ばれるようになったという説もあります。
幕末に横浜が開港されると肉食文化が伝播し、安政4年には大阪に牛鍋を出す店があったという記録が残ります。
その後東京へ牛鍋が伝わり、高橋音吉が「太田なわのれん」という牛鍋の店を創業し、味噌煮込みの牛鍋というスタイルを確立しました。
江戸時代以前には関西発祥の「魚すき」という料理がありました。

日本全国の地域ごとのすき焼き

すき焼きの調理法は地域ごとに変わるという特徴があります。
使用する具材によって豚すき、鳥すき(鶏すき)、蟹すき、うどんすき、牛すき鍋などとさまざまな名称があり、それぞれ味付けが異なります。

関西風のすき焼きは、すき焼き鍋で牛ロースを焼くという作り方が残っており、フライパンや鍋に牛脂をひいて牛肉を焼き、砂糖と醤油で味付けをします。
その後にネギや菊菜などの野菜と豆腐や糸こんにゃくを出汁と一緒に混ぜていきます。
関東風のすき焼きは、明治時代の流行だった牛鍋のスタイルがベースとなっており、出汁に砂糖やみりん、酒などを混ぜた割り下をあらかじめ張った鍋に、肉や野菜を煮物のように煮ていきます。
発祥当時は肉の質が悪かったため、味噌タレで味付けられましたが、肉質の改善と関西のすき焼きの影響を受けて醤油味をベースとしたすき焼きとなりました。
東京のすき焼きで人気ランキング上位となっているのは「人形町 今半」、「ONIQUE、TOKYO(オニークトーキョー)」、「モリタ屋」があがります。
北海道や東北地方では牛肉ではなく豚肉を使うことが一般的でした。
もともと牛肉が高価で、食べる習慣がない地域だったため、現在においても牛すき焼きという区別の呼び方をしているお店もあります。
愛知県などでは鶏肉を使用するすき焼きもあります。
愛知県の尾張地域では名古屋コーチンのすき焼きを「ひきずり」として区別しています。

滋賀県の琵琶湖周辺では牛肉以外にも、うなぎやナマズなどの湖魚や川魚などを使用する料理もあります。
大阪府では魚介類を使用した「沖すき」、高知県では鯨肉を使用した鯨のすき焼きなども食べられています。
沖縄県では鍋を使用する文化がないため、フライパンで調理するすき焼きを食べます。
キャベツやレタスなどの野菜を使い、大衆食堂のメニューとして目玉焼きを乗せたすき焼きが提供されるお店もあります。
マーガリンやタバスコ、ホットソースなどをかけて食べることもあります。

すき焼きと溶き玉子

すき焼きの食べ方は、取り分けた肉や野菜を溶き玉子に浸して食べるという食べ方が一般的です。
生の鶏卵をかき混ぜたものに浸すということが一般的になった由来は、熱さを冷ますことや、濃い味付けを中和するといった説がありますが定かではありません。
初期の牛鍋では玉子を使わなかったという説や、芸術家の北大路魯山人は玉子を使わなかったと言われ、鍋料理に生卵を用いる軍鶏鍋などの応用ではないかとも言われています。
家庭ですき焼きをする際にもエバラなどの市販のタレの味付けは濃い味付けになっているので、溶き玉子を使うことが一般的です。

伝統の日本料理としてすき焼きの楽しめる全国の名店

2011年にユネスコ文化遺産となった和食ですが、その代表格としてあげられるのが、すき焼きとしゃぶしゃぶと言えます。
すき焼きとしゃぶしゃぶを楽しめる名店を6店ご紹介します。

1. 日本料理芝桜
1店目は東京都の芝公園内「ザ・プリンスパークタワー東京」内にある「日本料理芝桜」。
伝統を保ちながら懐石料理を提供しています。
日本酒や焼酎、ワインに合わせた旬の味わいと厳選された器によって醸し出される和食の美学を堪能できます。
東京タワーを眺めながらいただく高級なすき焼きは絶品です。

2. 牛鍋店柿安
2店目は明治四年に三重県桑名市に創業した牛鍋店柿安。
緑と川に囲まれた伊勢平野で飼育された専用の松阪牛を使用しています。
肥育から調理までをすべて管理した牛肉と、卓越した技術をもつ職人によって調理された老舗の味を楽しめます。
こちらのお店では最高級の松阪牛を炭火網焼き、すき焼き、しゃぶしゃぶなどの多彩な調理法で堪能できます。
和室にモダンなデザインが融合した上質な空間ですき焼きを楽しめます。

3. 三田ばさら
3店目は赤羽橋にある三田ばさら。
こちらのお店では非常に珍しいトマトすき焼きをいただくことができます。
ミスマッチのようにも思える組み合わせですが、トマトの酸味が山形牛や甘みのある割り下とマッチするのです。
牛肉を炒める際に使う牛脂の代わりにオリーブオイルを使うことでイタリアンのような味わいを堪能できます。
シメにはパスタを入れるとミートソース味になります。

4. 伊勢重
4店目は伊勢重。
こちらは明治2年に東京日本橋の小伝馬町で生まれた創業140年以上にもなる老舗。
A5等級の最高級霜降り和牛を細かい筋1つ1つを丁寧に手作業で除いて和牛の美味しさを引き出す伝統の技術を受け継いでいます。
さらに秘伝のタレである割り下と炭火のコラボレーションを堪能できます。

5. すき焼き吉澤
5店目は創業大正13年のすき焼き吉澤。
銀座にあるこちらのお店は精肉店として創業し、東京食肉市場の仲卸でもあるため、店主自らが目利きしたこだわりの雌牛を一頭買いしています。
吉澤のすき焼きに使われる牛肉は熟練の目利きによって選ばれたものを水冷式の冷蔵庫でじっくりと熟成させ、肉本来の旨味を閉じ込めます。
また、使用する卵は栃木の指定農場で設備を整え、毎日の食事を監視しながら育てられた鶏の生んだもの。
使用するタレにはポン酢とゴマダレを合わせたものをおすすめしており、他の店とは一線を画す味わいを楽しめます。

6. しゃぶしゃぶすき焼き専門店おもき
6店目は銀座にあるしゃぶしゃぶすき焼き専門店おもき。
使用しているのは三重県松阪市で育てられた厳選の血統付き「三元豚」。
臭みが無く口に残らない脂の旨味が特徴。
野菜も松坂で採れた朝採れの野菜を提供しています。
牛肉は日本三大和牛のひとつでもある松阪牛で、霜降りがきめ細かく綺麗に入っている上に甘みのある脂身で、肉質も柔らかいという特徴があります。

これらのお店の中には通販などでお取り寄せをしているものやテイクアウトを提供しているお店もあるので、公式ホームページの情報を確認してみましょう。