祭り・フェスティバルについて

日本の祭りとは

祭りとは、感謝や祈り、慰霊の為に神仏及び祖先を祭る行為(儀式)のことをさす言葉で、供物を捧げ、豊作祈願や災厄を払うことを目的とした行事です。

祭りという表記の他にも「祭祀(さいし)」「祭礼・祭儀」という呼び名があり、また、祭りの別の漢字で表記した「祀り」「祭り」「奉り」「政り」は用途や意味合いが少し変わったりもします。

日本の祭りの歴史

“まつり”という言葉は「祀る」の名詞形で、本来は八百万の神を祀ること、またその儀式を指すものという意味があります。
個人がそういった儀式へ参加することも「まつり」であり、日本は古代において、祭祀を司る物が一致した祭政一致の体制だったので、政治のことを政(まつりごと)と呼んだりもします。
原初の祭りは豊穣への感謝・祈りという一つの進行に基づいて執り行われていました。
神に供物を捧げることで生きるための食糧である作物の豊作を願う、古くから伝えられている昔話にもよくある話です。
現在では日本全国に多くある祭りですが、その歴史と込められた思いはどれをとっても同じものは無く、だからこそ地域で愛される行事となっています。

お祭りに欠かせない道具と踊り

祭りはただ神に祈りを捧げるだけではなく、行動で感謝を伝えたり、供物を捧げるのです。
祭りで欠かせない道具と踊りを紹介します。
1.お神輿
日本のお祭りに無くてはならないものの一つがお神輿。
お神輿とは、お祭りの時に神様が移動する為に乗るとされている乗り物のことです。
半纏(はんてん)を纏った担ぎ手達がお神輿を肩に担ぎながら神社周辺の地域を歩き回ります。
重量が何百キロもある重さのお神輿を多くの担ぎ手達が担いで練り歩く様はお祭りの醍醐味のひとつです。

2.山車・太鼓台
お神輿と同じように神様の乗り物とされているのが『山車(だし)』と『太鼓台』です。
引いたり担いだりする出し物で、神輿よりさらに重いことから、車輪を付けて引っ張っていくのが主とされています。
神様は山の山頂付近に降臨されると昔から考えられていることから”山”車という名称になっており、神様が喜ばれるようにと提灯などで華やかに装飾を施していった結果が今の山車の形となりました。
山車の中には祭りばやしを始めとしたお囃子や和太鼓奏者や、ひょっとこなどの演者が乗ります。
京都の八坂神社で行われる祇園祭 前祭山鉾 御池通巡行が全国でも有名な山車祭りです。

日本の有名なお祭りの種類

昔から色濃く残る地域の特色ある祭りが多くあります。
そんな祭りの種類をいくつか紹介していきます。

1.火祭り
世界のどの文明を見ても火には特別な力が宿っていると信じられており、日本も勿論その例に漏れることは無く、火による浄化や霊力の強化を求めて様々な場所で火祭りが開催されています。
1000年以上も歴史が続くものまであり、歴史の深さが伺えます。
日本での火祭りは、火を焚く、数多くの松明を使うという特徴があります。
更にそこから派生をして、熱した炭の上を歩いたり、炎に飛び込んだりする祭りも存在しています。

2.盆踊り
仏教由来の『盆』の時期に先祖を供養する為にする踊りのことを指します。
盆踊りは日本全国に1,000以上の種類があるとされていて、地域の特色にあった踊りを楽しむことが出来ます。
一般的にはお祭りの会場の中央に立っている櫓(やぐら)を中心として、その周囲を回りながら音頭に合わせて踊ります。
日本三大盆踊りとされているのが、秋田県の「西馬音内盆踊り」、岐阜県の「郡上おどり」、そして徳島県の「阿波踊り」で、全国で親しまれています。

3.裸まつり
裸体に褌一つという世界的に見てもまれな格好で行われる祭りで、純真無垢な産まれたままの姿を曝け出して神と交渉を行うためとされています。
穢れ(けがれ)を払うといった意味が込められていることから、大晦日や夏の祓祭り等で行われています。

4.ねぶた祭り
海外から最も人気とされている日本の祭りが「ねぶた」です。
本州最北端に位置する青森県各地で行われている夏祭りで、青森ねぶた祭とも呼ばれています。
人形型又は扇形の張りぼてを乗せた山車を引いて行われ、元々のルーツは鎮魂の意を込めた灯篭流しとされています。
歴史や神話をテーマにした勇壮な巨大な山車と、華やかな衣装に身を包んで飛び跳ねるように踊るハネトという踊り手達をご覧になれます。

5.花火大会
花の火と書くように、夜空に花が咲いたかのような美しさと華やかさ、そして儚さを花火で堪能できます。
花火大会の歴史は江戸時代まで遡るとされており、その頃から人々の間で親しまれてきた行事とされています。
花火の種類はいくつもあり、開花したように丸く広がる花火、文字や絵を表したり富士山やナイアガラの滝を表しているものまである”仕掛け花火”、筒を手で脇に抱えて空中に火の粉を噴出させて最後は破裂をさせる”手筒花火”が大きな区分とされています。
日本全国で開催をされている花火大会ですが、特に有名とされているのは隅田川花火大会(東京都)・大曲の花火(秋田県)・長岡花火(新潟県)の三つとされています。

6.綱引き
学生時代の運動会の競技で行われる綱引きも、実はお祭りのひとつです。
昔から雨乞いの為に行われた儀式が綱引きの原型となっており、水神の使いとされる蛇に見立てた綱を引くことで、農作物の豊穣を願ったり、豊凶を占ったりしています。

7.来訪神
秋田県の神様『なまはげ』もこちらに該当します。
来訪神は神様の使者であり、正月等の節目に人間の世界に異形の姿で来訪されます。
見た目のインパクトはありますが、幸福をもたらすといった一面もあります。

8.奇祭
他の祭りとは一風変わった独特の習俗をもった祭りがこちらに該当します。

日本各地で行われている人気の祭り一覧

日本各地で四季折々のお祭りが数多く開催をされています。

1.秋田竿燈(かんとう)まつり
秋田県秋田市で毎年8月3~6日にて行われるお祭りで、真夏の病魔や邪気を払う、ねぶり流し行事として開催されています。
現在残っている古い文献から1789年から行われている非常に歴史のある祭りとして知られています。

2.山形花笠まつり
山形県山形市で毎年8月5~7日と13~15日にて行われるお祭りで、特徴的な威勢のいい掛け声と花笠太鼓の音色が特徴のお祭りです。
華やかに彩られた山車を先頭に、艶やかな衣装に身を包んだ踊り手が山形市のメインストリートを練り歩きます。

3.仙台七夕まつり
宮城県仙台市で毎年8月6~8日にて行われるお祭りで、戦国武将として有名な伊達政宗公の時代から続く由緒正しき伝統行事として今でも開催されています。

4.阿波おどり
徳島県徳島市で毎年8月12~15日に行われるお祭りで、街全体で踊り続けるイベントです。
400年以上続く歴史があり、現在では徳島県のみならず、日本全国から世界にまで伝播している日本が誇る祭りの一つとなっています。

5.おわら風の盆
富山県富山市で毎年9月1~3日に行われるお祭りで、哀切感に満ちた旋律の越中おわら節に乗って、坂が多い町の道筋で無言の踊り手達が洗練された踊りを披露する行事となっています。
明瞭な文献が存在しないのでハッキリとした起源は分かりませんが、1702年に始まったとされています。

6.よさこい祭り
高知県高知市で毎年8月9日の前夜祭と8月10,11日の本番、8月12日の全国大会と後夜祭と4日間に渡って行われるお祭りです。
帽子を持って踊る”よさこい”は非常に全国的にも有名で、前夜祭にて約4,000発の花火を打ち上げる高知市納涼花火大会も開催されることから、四国三大祭りの一つに数えられています。

7.相馬野馬追
福島県相馬市にて毎年7月最終週の土・日・月曜日に開幕、神事を24・25日に開催している東北六大祭りの一つです。
馬を追う野馬懸(のまがけ)、南相馬市原町区に所在する雲雀ヶ原(ひばりがはら)祭場地において行われる甲冑競馬と神旗争奪戦、街を騎馬武者が行進する、重要無形民俗文化財にもなるほど由緒正しいお祭りです。

8.五山送り火&春日大社中元万燈籠
五山送り火とは、京都で毎年8月16日に行われているお盆の精霊を送る伝統行事で、火を使って東山に”大”の文字、松ヶ崎に”妙”と”法”、次に西賀茂に”船形”、大北山には”左大文字”、嵯峨に”鳥居形”を灯す京都市登録無刑民族文化財に指定されているお祭りです。
春日大社中元万燈籠は奈良県奈良市で毎年8月14~15日に行われるお祭りで、春日大社の境内に3,000にも及ぶ灯篭を奉納しており、その幻想的な世界を見に多くの参拝者が毎年訪れています。

9.毛馬内盆踊り・花輪ばやし
秋田県鹿角市で毎年8月21~23日の三日間行われているのが毛馬内盆踊りです。
秋田県三大盆踊りの一つにも数えられていて、大太鼓と笛の囃子で踊る「大の坂」と無伴奏の唄のみで踊る「甚句」の二つで構成をされています。
歴史は諸説ありますが、一般的には1657年には既に継承されているという説が有力となっています。
同じく秋田県鹿角市の8月19~20日に行われているのが花輪ばやしで、秋田県鹿角市では夏の終わりを告げる行事とされていて、日本三大ばやしの一つにもなっています。
1978年には秋田県無形民俗文化財に、そして2014年には重要無形民俗文化財に、更には2016年にユネスコ無形文化遺産にも登録されました。

10.西馬音内の盆踊り
秋田県雄勝郡羽後町西馬音内にて毎年8月16~18日に行われている盆踊りで、阿波踊りと郡上おどりと合わせて日本三大盆踊りの一つに数えられています。
歴史は諸説あり、有力なのは700年以上前に修行僧が豊作祈願の為に神社の境内にて躍らせたものではないかとされています。