日本の伝統工芸の「東京染小紋」紹介動画
こちらの動画は「伝統工芸 青山スクエア」が公開した「手技TEWAZA「東京染小紋」tokyo some komon dyeing/伝統工芸 青山スクエア Japan traditional crafts Aoyama Square」です。
今回紹介する日本の伝統工芸の一つ「東京染小紋」は東京や首都圏にお住いの方には「江戸小紋」と言ったほうが馴染み深いかもしれません。
日本の伝統工芸「東京染小紋」とは
「東京染小紋」は着物や帯のような高級な反物から風呂敷や扇子といった日常品まで幅広く浸透している伝統工芸の一つです。
正絹や木綿だけでなく手すき和紙などに手仕事で丁寧に染付する、卓越した職人技が描く反物や着物は美術品としての価値も高く、東京染小紋職人の多くが文化勲章を受章しています。
染めの原料には抗菌作用や防臭効果のある柿渋などが用いられます。
作品の一つ一つ職人の手作業によるものなので大量生産ができません。
工房では東京染小紋の体験をさせてくれるところもあるので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?
「小紋」というのは動画の0:26からご覧になれる型紙に描かれた小さな模様のことです。
東京染小紋の歴史は室町時代に起源をもち、江戸時代になってから広がりました。
染物職人が江戸に集まり手技を競い、江戸で開花したので江戸小紋という愛称で親しまれています。
東京染小紋の制作・製造工程
【作業工程1:型紙作り】
型紙には渋柿を用いて手漉き和紙を張り合わせた地紙を使います。
東京染小紋には伊勢型紙(三重県鈴鹿市産)が使用されます。
型紙には地染めの時に色がつかない部分に糊を塗ります。
染めた後に糊を洗い流すと糊の部分が白く残り美しい模様になります。
糊を塗ったら型紙を干します。
【作業工程2:色糊の調整】[動画: 1:03~]
色糊はもち米と米ぬかに塩を混ぜて蒸した元糊に染料を調合した色を練り込んでいきます。
見た目の色と染め上がりが異なるので、調合には職人の高い技術が要求されます。
【作業工程3:型付・地色染め】[動画: 2:01~]
生地に大きな刷毛で色糊を塗りつけます。
この作業を「しごき」という場合もあります。
【作業工程4:蒸し】
色糊が乾燥しないうちに幾重にも折るようにして蒸し箱に入れて蒸します。
この時地色が定着しやすいように徐々に温度を上げながら15分〜30分蒸しあげます。
【作業工程5:洗い】[動画: 3:04~]
蒸しあがった生地を水槽に移し替え、糊をふやかしながら十分な量の地下水でおがくずとともに洗い流します。
昔の日本では染物職人が川沿いに多かったのはこの洗いの作業に便利だったからです。
【作業工程6:仕上げ】[動画: 3:16~]
水洗いが済んだ生地は脱水機にかけ、乾燥機で乾燥させ細かな色付けを行えば出来上がりです。
東京染小紋の紹介まとめ
東京染小紋の特徴は「小紋の密度」にあると言っても過言ではないでしょう。
遠くから見ると無地のように見えますが、近づくと細かい定小紋が幾何学的に並び、その美しさは美術品とも称されています。
室町から江戸時代にかけては武家社会であり、その文化は質素倹約を旨としたものでした。
そのため浴衣や京友禅にみられるような派手な模様ではなく一見すると地味な小紋柄が好まれたと考えられています。
近くで見るととてもおしゃれで贅沢な染付の技法は粋を好む江戸の人達に愛されていたことでしょう。
武士の正装である裃にも東京染小紋の文化が浸透していたことが江戸時代の文献や文化遺産等で確認することができます。
また、東京染小紋が武士から庶民の文化へと拡大して行ったのは江戸時代中期からです。
男性だけでなく女性の訪問着などにも遊び心のある東京染小紋の着物や風呂敷などの日用品が大流行を見せました。
東京染小紋は1974年に当時の経済産業大臣から国の伝統工芸品に指定されました。
今ではその職人技を使ってマフラーやランプシェード、手すき和紙を使った伝統工芸品など幅広い分野で取り入れられ愛されています。
日本伝統の東京染小紋の職人技この動画でご堪能ください。
【公式ホームページ】東京染小紋 | 伝統的工芸品 | 伝統工芸 青山スクエア
https://kougeihin.jp/craft/0201/
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