相撲について

相撲とは

日本に伝統的に伝わる相撲は、国技として多くのファンから愛されます。
実は相撲の起源は神話の時代にまでさかのぼるといいます。
日本で少なくとも1500年以上続くという相撲にはどんな魅力があるのでしょうか?

人間には闘争本能というものがあり、そのために古くから力比べや取っ組み合いに発展するケースは多かったといいます。
これが武道となったものが日本の相撲です。
相撲は『古事記』や『日本書紀』にも力比べの逸話や天覧勝負の伝説などとして描かれています。
紀元前23年には、野見宿禰(のみすくね)と當麻蹶速(当麻蹴速・たぎまのけばや)が「捔力(すまい)」という古代相撲を行いました。
この「すまい」が相撲という言葉の由来になったといわれます。
古い文献には、その年の収穫量を占う祭の神事や祭の一環として相撲が行われていたという記述もあります。
また、相撲のもととなった弓取式と呼ばれる儀式も古来より行われていました。

鎌倉時代や戦国時代には武士の武芸訓練として、相撲が盛んに行われました。
特に、織田信長は相撲を深く愛好していたといい、各地から集めた力士を戦わせる上覧相撲を開催し、勝ち抜いたものを家臣にしたこともありました。
相撲は江戸時代には庶民の娯楽または見世物として人気を集めます。
勧進相撲の催しが行われたり、相撲の興行が全国を回ったりするようになったのもこの時期です。
江戸時代中期以降の相撲は神道の影響を受けており、土俵入りには拍手を打ち、横綱は注連縄を巻くようになりました。
優勝した相撲の力士は祝儀や懸賞を得られることから、強い力士がどんどん登場し盛り上がりました。
近代以降には相撲のルールが整えられ、大正時代には日本相撲協会が誕生するなどし現在に至ります。

各地の社寺で祭りの行事として、奉納相撲が催されることも多いものです。
地域によっては、大人だけでなく子供が相撲を取って奉納する行事も開催されます。
相撲は伝統的に女人禁制となっており、大相撲では女性は土俵に入ることができません。
しかし、各地には女相撲と呼ばれる女性の取り組みを披露する興行もあります。

相撲の階級について

相撲の力士は、勝ち進むごとに階級が上がっていくシステムになっています。
若いうちから修行を積んだ力士は、まずは日本相撲協会の新弟子検査を受けることになります。
これに合格すると番付外として、前相撲というランクで相撲をすることになります。
前相撲であっても成績が良ければ番付が上がっていきます。

番付と呼ばれるランキングに載るのは序の口の力士からです。
序の口で勝ち進めば序二段、三段目、幕下とランクが上がります。
関取と呼ばれるのは、幕下力士よりも番付の高い十両の力士からです。
十両以上の力士の取り組みは相撲のテレビ中継でも放送されます。
さらに勝ち進めば幕内力士の前頭(平幕)、そして小結・関脇・大関と呼ばれる三役に昇進します。
そして、優勝した最も強い力士は、番付の最高位に位置する横綱という地位を与えられます。

横綱は腰に見事な綱を巻くことに由来する地位で、一度横綱の地位に上がればそこから陥落することはありません。
天下で最も強い横綱は日の下開山(ひのしたかいさん)とも呼ばれています。
最高の栄誉である横綱は、すべての力士と相撲ファンの憧れの存在です。
横綱には品格や礼儀作法がが必須とされ、横綱らしい相撲を取ることも求められます。

現在の相撲部屋にはどんなものがある?

現代の日本の大相撲は、日本相撲協会が運営・管理しています。
相撲の力士たちは相撲部屋に所属し、日々稽古を重ねます。
相撲の一門(部屋)には以下のようなものがあります。

二所ノ関一門:琴奨菊や高安、貴景勝をはじめとした力士が所属します。
出羽海一門:栃ノ心などの力士が所属します。
時津風一門:鶴竜などの力士が所属します。
高砂一門:朝乃山などの力士が所属します。
伊勢ヶ濱部屋:白鵬などの力士が所属します。

相撲界にはほかにもいくつかの部屋があります。
2018年までは貴乃花部屋がありましたが、こちらは閉鎖されました。
各部屋には大相撲で活躍する有名力士をはじめとした多くの弟子が在籍しています。
引退した力士は指導者になったり、相撲部屋の親方、理事として活躍したりすることもあります。

相撲のルールや戦い方について

相撲は土俵の中で2人の力士が組み合って勝ち負けを競う競技です。
土俵の中に足の裏以外の場所がついた場合、土俵から出てしまった場合、そして反則をした場合には負けとなります。
相撲の勝ち負けは行司と呼ばれる審判が行います。

相撲の土俵は、南部相撲や旧式の相撲では四角土俵を使っていたといいますが、現在では基本的には15尺、直径4.55メートルの円形と決められています。
相撲を始めるときには塵手水(ちりちょうず)と呼ばれる動きをします。
これは武器を持っていないことを示し正々堂々と戦うことを表す作法です。
続いて、土俵に入って仕切り線に拳をついて準備します。
行司の合図とともに両者同時にぶつかることを立会いと呼びます。

立会いのあとには、力士はぶちかましや喉輪、突っ張り、張り手、足払いなどの攻め手を用いて戦います。
相手のまわしを掴んでバランスを崩したり、土俵から押し出したりする攻撃も有効です。
相撲の決まり手は公式には投げ、賭け、反り、捻りといった種類があります。
かつては相撲の決まり手は四十八手とされていましたが、現在は日本相撲協会が82の技と、技以外の勇み足などの決まり手5つを定めています。
相撲では拳で殴ったり頭髪を掴んだり、急所を突いたりノドを掴んだりすることを禁じ手としています。
禁じ手をすると自動的に負けとなってしまいます。

日本の相撲はいつ開催される?

日本では現在、大相撲の興行(場所)が奇数月に行われています。
例年、以下のようなスケジュールで開催され、テレビ放送もされるのでチェックしてみましょう。

一月場所(初場所):東京の両国国技館で開催されます。
三月場所(春場所・大阪場所):大阪で開催されます。
五月場所(夏場所):東京の両国国技館で開催されます。
七月場所(名古屋場所):愛知県名古屋市で開催されます。
九月場所:(秋場所):東京の両国国技館で開催されます。
十一月場所(九州場所):福岡の博多で開催されます。

各地域には、お相撲さんがやってくるのを待ちわびている相撲ファンがたくさんいます。
現在は場所ごとに15日間連続で相撲が行われます。
1日目は初日、8日目を中日(なかび)、そして最終日は千秋楽(せんしゅうらく)と呼ばれ特に賑わいます。

相撲によく似た遊びにチャレンジしてみよう

日本の国内外には、相撲によく似た形式の格闘技やスポーツがいくつもあります。
沖縄では沖縄角力(シマ)と呼ばれる武道が古くから行われていました。
ほかに、モンゴルのブフ、中国のシュアイジャオ、朝鮮半島のシルム、トルコのヤールギュレシ、セネガルのランブといったスポーツがあります。
また、日本には、相撲とよく似たルールの遊びがいくつもあります。
子供でも気軽にできる遊びばかりなので、気軽にチャレンジしてみましょう。

腕相撲:台などに腕を乗せて2人で組み、相手の手の甲を台につけたほうが勝ちです。
指相撲:お互いの指を握り合って親指を立て、親指を10カウント押さえれば勝ちです。
足相撲:向かい合って座り、ヒザで相手の足を押し合って倒した方の勝ちです。
拳相撲:小さな土俵で拳だけを戦わせる遊びです。
草相撲:オオバコの葉を絡ませて引っ張り合い、切れたほうが負けとなります。

日本伝統の相撲の楽しみ方は?

相撲に興味がある方は、ぜひ大相撲の興行に足を運んでみましょう。
相撲はテレビ中継されるので、自宅でも気軽に観戦できますよ。
相撲の聖地として名高い両国に観光に出かけるのもおすすめです。
両国には江戸東京博物館があり、相撲の歴史や江戸時代の暮らしについて学ぶことができます。

近隣には相撲の世界では欠かせないちゃんこ鍋を出すお店もたくさんあるので、絶品の相撲グルメを味わってみましょう。
相撲の速報や取組結果の一覧、成績や星取表といった情報は日本相撲協会の公式サイトや日本相撲協会の公式ツイッターでチェックできるのでぜひアクセスしてみてください。