■目次
はじめに
北海道の東側には、景色が変わるたびに旅の印象も大きく変わる魅力があります。
釧路湿原国立公園、阿寒湖、摩周湖をつないで巡る「水のカムイ観光圏(Untouched Hokkaido)」(0:54)は、雄大な自然、美しい湖の景色、静けさに包まれる時間を一度の旅で味わえる特別なエリアです。
湿原の広がりに圧倒され、湖畔の穏やかな空気に癒やされ、さらに進めば火山が生んだ地形や、この土地に息づくアイヌ文化にも出会えます。
初めて訪れるなら2泊3日ほどあると回りやすく、車なしの場合は釧路・阿寒湖温泉・川湯温泉などをエリアごとの拠点にすると、移動の負担を抑えながら満喫しやすくなります。
この記事では、「水のカムイ観光圏」がどんなエリアなのかを整理しながら、見どころ、回り方、季節ごとの楽しみ方をわかりやすく紹介します。
水のカムイ観光圏とは?釧路湿原・阿寒湖・摩周湖を周遊するひがし北海道の旅エリア
釧路湿原・阿寒湖・摩周湖。この3つの名前を聞いただけで、広大な北海道の景色が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
「水のカムイ観光圏」は、その3つのエリアを軸に、ひがし北海道の自然・アイヌ文化・温泉・食をひとつながりで楽しめるよう整理された広域観光エリアです。
"カムイ"はアイヌ語で「神」を意味します。自然のあらゆるものに神が宿るというアイヌの世界観において、水は特別な存在でした。川も湖も湿原も、すべてがカムイとともにある世界。その言葉が観光圏の名前に選ばれているのは、この土地の本質をそのまま映しているからです。
このエリアの面白さは、湿原・湖・火山地形・アイヌ文化・温泉という要素が「点」ではなく「線」でつながっていることにあります。
コンセプトは「水のカムイと出会える旅へ」。水の流れとともに育まれてきた自然や文化に触れることで、ただ名所を巡るだけではない、北海道の東側ならではの奥深い旅が楽しめます。
ひとつの名所を見て終わりではなく、周遊するほどにこの土地の奥行きが立体的に見えてくる。それが「水のカムイ観光圏」の旅の醍醐味です。
「水のカムイ観光圏」はどんな人におすすめ?ゆっくり味わう旅が似合う理由
「水のカムイ観光圏」が似合うのは、景色を眺めるだけでなく、その土地の空気や時間の流れまで含めて楽しみたい方です。
絶景を見て満足する旅ではなく、温泉に浸かり、土地ならではの食を味わい、自然の中で過ごす時間やアイヌ文化との出会いも大切にしたい。そんな旅を求める方に、このエリアはよく合います。
広い空、澄んだ空気、耳を澄ませたくなるような静けさに惹かれる方にも、きっと印象深い旅になるでしょう。
北海道を何度か旅したことがある方はもちろん、次は少し違う北海道に出会いたいと考えている方にもおすすめです。
このエリアでは、急いで移動するよりも、ひとつひとつの場所に少し長くとどまるほうが旅の魅力が深まります。
釧路湿原国立公園では、ただ広いだけではない、空と大地がつながるような風景に見入る時間が心に残ります。
阿寒湖では、湖畔の散策やアイヌコタンでのひとときが、景色だけではない旅の記憶をつくってくれます。
摩周湖では、晴れた日の透明感も、霧に包まれた幻想的な表情も、それぞれ違った美しさとして心に残ります。
場所ごとに雰囲気が大きく変わるからこそ、ただ巡るだけでも旅に奥行きが生まれます。
1泊2日でも回れますが、初めてなら2泊3日以上あると、このエリアの魅力をより無理なく味わえます。
湿原、湖、温泉地と、訪れる場所によって旅の印象が大きく変わるため、少し余裕を持たせた行程のほうが満足度は高くなります。景色の違いを楽しみながら、自分のペースでゆっくり巡る。その時間こそが、「水のカムイ観光圏」の旅を特別なものにしてくれます。
釧路の見どころは?広大な自然で楽しむカヌー・展望台・タンチョウ観察・世界三大夕日を解説
「水のカムイ観光圏」の旅は、釧路湿原から始めるのが自然で最適な旅の形です。
釧路湿原国立公園は釧路市街の北側に広がる日本最大の湿原で、ラムサール条約にも登録された、国際的にも貴重な自然地帯です。その「すごさ」は、数字よりも、実際に展望台に立って目の前に広がる景色を見たときに初めてわかります。
空が広い。地平線のように続く湿原。蛇行する釧路川(0:25)。人工物がほとんど視界に入らない。この感覚は、他ではなかなか味わえないものです。「ひがし北海道に来た」という実感が、ここで一気に体に届きます。
釧路川は全長154kmにわたって流れる川で、その源流は阿寒摩周国立公園内にある屈斜路湖(弟子屈町)です。湖の南端から流れ出した清流は、原生林の中を静かに進み、154kmの道のりをかけてこの釧路湿原へとたどり着きます。旅の終盤に摩周湖・屈斜路湖を訪れると、湿原を流れる釧路川の源を実感できる、特別なつながりが感じられます。
釧路湿原国立公園での楽しみ方
展望台めぐり
細岡展望台(ほそおかてんぼうだい)・サルボ展望台・コッタロ湿原展望台・釧路市湿原展望台(7:25)など、それぞれ異なるアングルで湿原を見渡せます。天気や時間帯によっても表情が変わるので、複数の展望台を組み合わせるのがおすすめです。
北斗展望台ガイドツアーは動画の(7:25)からご覧になれます。
釧路川源流カヌーツアー・釧路湿原カヌーツアー
釧路のカヌーツアーには、大きく2つのコースがあります。原生林に囲まれた清流を下る「釧路川源流カヌーツアー」と、広大な湿原を水辺の目線で楽しむ「釧路湿原カヌーツアー」と、です。それぞれ異なる自然の表情を持ち、どちらも釧路の魅力を深く知ることができる体験として、多くのリピーターが訪れるほど人気を誇っています。
・釧路川源流カヌーツアー(3:32)
屈斜路湖を源とする釧路川の源流域から出発し、原生林に囲まれた清流を静かに下るツアーです。川幅が狭く水の透明度が高い源流域では、木々が覆いかぶさるように続く「緑のトンネル」の中をカヌーで抜けていく体験ができます。開けた湿原の景色とは対照的な、静謐で神秘的な世界観が広がり、手つかずの自然の中を進む感動は下流域とはまた一味異なります。冒険感あふれるその体験は、自然の奥深さをより身近に感じさせてくれます。
「手つかずの原生林と透き通る清流の中に分け入りたい」方におすすめです。
・釧路湿原カヌーツアー(6:54)
釧路湿原国立公園を流れる釧路川を漕ぎ、水辺の目線から日本最大の湿原を体感できるツアーです。川幅が広く流れが穏やかな下流域は、カヌー初心者でも安心してパドルを握ることができます。
水辺に群生する葦(あし)の間をすり抜けながら静かに進んでいくと、タンチョウやカワセミといった野鳥が間近に現れることもあり、自分が湿原の生態系の一部になったような没入感はここでしか味わえません。ガイドツアーに参加すれば、湿原の生態系や動植物についての解説も聞けるため、目の前の景色がより奥行きのあるものに感じられます。
「広大な湿原の風景と野生動物に出会いたい」方におすすめです。
木道散策
釧路市湿原展望台に隣接する遊歩道は、サテライト展望台が中間地点にあり、釧路湿原を一望できます。
また、温根内ビジターセンター(おんねないびじたーせんたー)周辺の木道は、湿原の中を歩けるルートとして人気。足元に広がる泥炭地の感触と、湿原植物の世界をじっくり楽しめます。
タンチョウ観察
釧路湿原国立公園はタンチョウの生息地として世界的にも知られています。タンチョウは国の特別天然記念物に指定されており、かつて絶滅の危機に瀕しながらも保護活動によって個体数を回復させた、日本を代表する野生生物のシンボルです。
釧路・根室地域は日本最大のタンチョウ繁殖地であり、湿原や農耕地に生息するその優雅な姿は、この地を訪れた人々に深い感動を与えます。
特に冬場は、雪景色の中でタンチョウが舞う姿を見ることができ、その美しさは忘れられない記憶になります。冬から早春にかけては、オスとメスが向かい合い、翼を広げながら跳び跳ねる求愛ダンスを見られることもあり、生命の神秘を間近に感じられる貴重な瞬間です。
観察スポットとしては、給餌によってタンチョウが集まる阿寒国際ツルセンターや、野生のタンチョウを自然な状態で観察できる鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリが特に有名です。
タンチョウ観察のベストシーズンは12月中旬〜2月で、越冬のために数十羽〜百羽以上が集まることもあり、雪原に映える白と赤の鮮やかな姿は、冬の釧路ならではの絶景です。
まず釧路湿原国立公園で道東のスケール感と自然の濃度を体に刻んでから、阿寒湖や摩周湖へ向かう流れにすると、旅全体が気持ちよくつながっていきます。
釧路エリアは動画の(6:18)からご覧になれます。
基本情報
【住所】北海道釧路市・釧路郡釧路町・阿寒郡鶴居村・川上郡標茶町
【アクセス】たんちょう釧路空港から車で約40〜60分
阿寒湖の見どころは?マリモ・阿寒湖アイヌコタン・阿寒湖温泉が重なる滞在型エリアの魅力
釧路湿原国立公園が果てしない広がりを感じるスポットだとすれば、阿寒湖は湖の景色、文化、温泉がひとつに重なり合う、じっくり滞在して楽しみたいエリアです。
阿寒湖は、特別天然記念物に指定されたマリモが生息することで広く知られています。
遊覧船で湖上を巡りながらチュウルイ島へ渡り、マリモ展示観察センターで本物のマリモを目の前にする体験は、子どもにも大人にも印象深く残ります。丸みを帯びた緑の球体がゆっくりと水の中でたゆたう姿には、不思議と心を落ち着かせる魅力があります。
そして阿寒湖の魅力は、マリモの知名度だけでは語りきれません。湖畔に流れる静かな時間、アイヌ文化に触れるひととき、温泉地ならではの心ほどける空気が重なり合い、旅の記憶に深く残る場所になっています。
阿寒湖アイヌコタン:アイヌ文化と出会う場所
阿寒湖温泉街の一角に、「阿寒湖アイヌコタン」があります。 コタンとはアイヌ語で「集落」や「村」を意味する言葉で、阿寒湖アイヌコタンは、アイヌ文化を今に伝える場所として知られています。 単なる観光施設ではなく、現在もアイヌの人々が暮らし、日々の営みの中で文化を受け継いでいる点が大きな特徴です。エリア内には、木彫りや刺繍などの工芸品を扱う店や、アイヌ料理を味わえる飲食店、古式舞踊や伝統を紹介する施設が集まり、歩きながらアイヌの歴史や文化に触れられます。
特に阿寒湖アイヌシアター『イコㇿ』では、アイヌ古式舞踊のライブパフォーマンスを鑑賞でき、阿寒湖を代表する文化体験のひとつとして訪れたい場所です。力強くも繊細な舞と音楽は、胸の奥にじわりと届く迫力があります。ユネスコ無形文化遺産にも登録されており、ここでしか感じられないアイヌ文化の真髄に出会えます。
コタン内の工芸品店では、木彫りや刺繍といったアイヌの伝統的な手仕事を間近で見ることができます。
木彫りには、熊やフクロウなど自然に関わるモチーフを表現した置物のほか、盆や小箱など暮らしの中で使われてきた品もあり、素朴さの中に力強さが感じられます。刺繍は、衣服や袋物、布小物などに施されることが多く、曲線を生かした独特の文様が美しく、ひと目で印象に残ります。
こうした模様には魔除けや守りの意味が込められているものもあり、デザインとして眺めるだけでは見えてこない奥深さがあります。
ひとつひとつに込められた意味や技術を知ると、旅のお土産もより特別なものに感じられるはずです。
阿寒湖周辺のアクティビティ:自然の中へもう一歩踏み込む
阿寒湖エリアは、湖畔の散策にとどまらない、豊かな自然体験の場でもあります。
湖岸遊歩道は、湖岸沿いに整備された散策路で、阿寒湖の表情を間近に感じながら歩けるルートです。
森の木々と湖面が交互に現れるなかを歩くと、温泉街の喧騒とは切り離された、静かな時間が流れます。歩きやすい道が続くため、ちょっとした合間にも気軽に楽しめます。散策の途中では、阿寒湖の遊覧船に乗り込んで特別天然記念物のマリモを観察できるスポットへと連れて行ってもらう体験も見逃せません。球状に育ったマリモが水中にたたずむ光景は、世界でも阿寒湖でしか見られない唯一無二の自然の造形です。
また、湖畔コース沿いには「ボッケ」と呼ばれる泥火山が点在するエリアがあり、地中からぼこぼこと泥が湧き上がる様子は、大地が今もなお生きていることを実感させてくれます。湯気が漂う原生林の中を歩くボッケの森散策は、温泉地ならではの地熱エネルギーを五感で感じられる、湖岸遊歩道ならではの体験です。
阿寒フィッシングツアー(1:45)では、豊かな水系に育まれた阿寒湖やその周辺の川で、釣りを楽しむことができます。アメマスやアイヌの言葉でも知られるニジマスなど、道東ならではの魚と向き合う時間は、自然の懐に抱かれる感覚を鮮やかに届けてくれます。地元ガイドと一緒に最適なポイントを探すツアーは、初心者から経験者まで幅広く楽しめる体験です。
阿寒湖から車で約30分の距離にあるオンネトーは、雌阿寒岳と阿寒富士を背景に湖面が刻々と色を変える、「五色沼」とも呼ばれる神秘的な湖です。その湖畔で楽しめるオンネトーサイクリング(1:53)は、大自然の中を風を切りながら進む爽快な体験。緑に囲まれたルートをゆっくりとペダルを漕ぎながら、湖の色の変化と森の静けさをサイクリングで存分に楽しめます。
そしてオンネトーのすぐそばにそびえるのが、雌阿寒岳(めあかんだけ)です。標高1,499メートルのこの山では、登山口から山頂までの雌阿寒岳登山(2:13)が人気を集めています。湖岸遊歩道 ( 12Km ) を歩く場合、雌阿寒岳頂上への往復時間は体力や歩行ペースにもよりますが、目安として往復7時間ほどを見ておくと安心です。山頂からは活火口の迫力ある景色と、眼下に広がる阿寒湖・オンネトーの絶景を同時に望めます。火山地形と湖と森が一望できる展望は、ここでしか出会えないものです。登山の際は十分な装備と天候確認を忘れずに。
阿寒湖温泉で至福のひとときを過ごす
阿寒湖の湖畔には、温泉宿が立ち並ぶ阿寒湖温泉があります。湖に近いこの温泉地では、湯に浸かりながら水辺の景色を眺めることができ、釧路湿原で感じる開放感とはまた違った、落ち着きのある旅の時間が流れます。
散策しやすい温泉街には土産店や飲食店も立ち並び、湖畔の空気を感じながらゆっくり歩くだけでも、この土地ならではの穏やかな魅力に触れられます。足湯(5:40)が楽しめるスポットに加え、阿寒湖温泉発祥とされる手湯もあり、散策の途中に気軽に温泉のぬくもりを感じられるのも魅力です。
阿寒湖の夕暮れどきは湖面の色がやわらかく変わり、夜は温泉で体を温め、朝には朝靄に包まれた湖を静かに眺めることができます。時間帯によって表情を変える湖とともに過ごすことで、阿寒湖の魅力はより深く心に残ります。
「水のカムイ観光圏」を巡るなら、阿寒湖はぜひ宿泊を組み込みたいエリアです。
自然の美しさ、温泉地ならではの心地よさ、そしてアイヌ文化に触れられる環境がひとつに重なり、旅の満足度を大きく高めてくれます。
阿寒エリアは動画の(1:08)からご覧になれます。
基本情報
【住所】〒085-0467 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉
【アクセス】釧路空港から車で約60分
摩周湖の見どころは?雲海・展望台・弟子屈・川湯温泉まで紹介
阿寒湖を離れて摩周湖へ向かう道のりでは、旅の空気が少しずつ変わっていきます。車窓に映る景色は次第に森の色を深め、人の気配は遠のき、澄んだ空気の中に静けさが増していきます。
そうして展望台に立った瞬間、目の前に現れるのが、摩周湖ならではの凛とした青い湖面です。その景色には華やかさとは異なる、思わず言葉を失うような静かな迫力があります。
摩周湖は、標高およそ350〜400メートルに位置する、約7000年前の火山活動で形成されたカルデラ湖(火山活動による大噴火で山頂付近が陥没した箇所に、雨水や地下水が溜まってできた湖)(1:17)です。湖の周囲は外輪山にぐるりと囲まれ、大きな川が注ぎ込むことも、湖から川が流れ出していくこともほとんどありません。外からの影響を受けにくい環境だからこそ、摩周湖ならではの高い透明度と澄んだ青い湖面が守られています。
こうした地形によって外部からの影響を受けにくく、摩周湖は世界有数の透明度を誇る湖として知られてきました。1931年には41.6メートルの透明度が観測され、湖沼透明度の世界記録として知られています。その澄みきった水は『摩周ブルー』と呼ばれる印象的な青を生み出しています。
アイヌの人々はこの湖を「カムイトー」と呼び、その名はアイヌ語で「神の湖」を意味します。自然のあらゆるものにカムイ(神)が宿るというアイヌの世界観において、摩周湖は古くから特別な場所として畏敬を持って語り継がれてきました。人の手が届かない凛とした静けさ、霧に包まれる神秘的な表情、そして息をのむほどに澄み渡る青。カムイトーという名前は、この湖のすべてを言い当てているかのようです。「水のカムイ観光圏」を巡る旅において、アイヌの言葉でその名を胸に置いてから眺める摩周湖は、また一層深く心に刻まれるはずです。
摩周湖の魅力は、ただ青く美しいだけではありません。湖畔に降りて遊ぶ場所ではなく、展望台から静かに眺めることで、その輪郭の美しさや湖を包む空気まで含めて味わえる場所です。
摩周湖の霧と雲海
摩周湖はその霧の多さでも知られており、「霧の摩周湖」として古くから親しまれています。晴れた日の透明感のある鮮明な青も圧巻ですが、霧がかかった日には湖全体が白いベールに包まれ、神秘的な雰囲気がいっそう深まります。晴れの日も霧の日も、それぞれにこの湖らしい表情があります。
近年特に注目されているのが摩周湖の雲海(3:19)。早朝に霧が低い位置に漂い、展望台からは雲海の上に摩周岳がそびえる幻想的な光景が広がることがあります。条件が揃ったときにしか見られない景色だからこそ、「見られたらラッキー」という期待感も旅の楽しみになります。
摩周湖をより楽しむための周辺情報
屈斜路湖
日本最大のカルデラ湖。砂湯では砂を掘ると温泉が湧き出るユニークな体験ができます。
屈斜路湖は釧路川の源流です。原始の森の中を蛇行しながら流れ、釧路湿原を経て太平洋へと注がれます。
その全長は154kmに渡り、ダムや堰が無い河川としても知られ、カヌー愛好者の憧れの河川となっています。
川湯温泉
強酸性の硫黄泉で知られる川湯温泉。その源泉は、活火山である硫黄山(アトサヌプリ)の地下マグマによって熱せられた酸性の熱湯です。地下を流れる温泉層から湧き出るその湯は、強い酸性が特徴で、肌がつるつるになると評判の個性的な温泉です。源泉の迫力を間近に感じたい方には、白煙が噴き上がる硫黄山(アトサヌプリ)の見学もあわせておすすめです。摩周湖・屈斜路湖と合わせて「弟子屈三湖」を巡る旅程が人気です。
川湯温泉は動画の(5:22)からご覧になれます。
アトサヌプリ(硫黄山)ハイキングツアー
川湯温泉のすぐそばに位置する硫黄山(アトサヌプリ)(4:13)は、白煙が絶えず噴き上がる迫力満点の活火山です。通常は火山ガスや安全管理のため立入が制限されているエリアも多いですが、「てしかがえこまち推進協議会」に認定された地元の専門ガイドが同行するツアーに参加すれば、一般では踏み込めない場所まで特別に案内してもらえることがあります。硫黄の結晶が堆積した地表や、間近に迫る噴気孔の音と熱気は、普通の観光では絶対に体感できない、唯一無二の経験です。安全に火山の営みに触れたい方は、ガイドツアーへの参加をおすすめします。
弟子屈町(てしかがちょう)
摩周湖・屈斜路湖の玄関口となるまち。道の駅 摩周温泉など、地元食材を使った飲食店も充実しています。
釧路湿原の目の前に広がる絶景、阿寒湖の歴史や文化、そして摩周湖の澄んだ空気の中に静けさ。それぞれに異なる表情を持つ3つの場所が、「水のカムイ観光圏」の周遊を豊かなものにしています。
摩周エリアは動画の(3:18)からご覧になれます。
基本情報
【住所】〒088-3201 北海道川上郡弟子屈町摩周湖第一展望台
【アクセス】JR摩周駅から約20分
「水のカムイ観光圏」で味わいたいグルメは?水の恵みと土地の気候が育てる道東の食
「水のカムイ観光圏」の魅力は、景色や温泉、文化だけにとどまりません。旅の満足度をぐっと高めてくれるのが、この土地ならではの食です。
釧路湿原、阿寒湖、摩周湖周辺では、水辺の恵みと冷涼な気候、広い大地が育む食材がそれぞれ異なり、訪れる場所ごとに味わいの印象も変わっていきます。
旅先の記憶は、目にした風景だけでなく、そこで口にした味によっていっそう鮮やかになります。港町に近い釧路では海の幸の存在感が際立ち、阿寒湖周辺では湖の恵みや山の幸に出会えます。さらに弟子屈や川湯温泉方面へ足を延ばせば、内陸ならではの食材や地域に根づいた味わいが楽しめます。同じエリアを巡っていても、食の印象が少しずつ変わっていくことが、「水のカムイ観光圏」の旅をより奥行きのあるものにしてくれます。
このエリアでは、湿原、湖、温泉地と景色が移り変わるのに合わせて、食の楽しみ方も自然に変わっていきます。だからこそ、「何を食べるか」まで含めて旅を組み立てると、この土地の魅力をより立体的に味わえます。
釧路エリア:海の幸と炉端焼き
釧路は北海道有数の漁港の街。サンマ・シシャモ・秋鮭・毛ガニなど、新鮮な海産物が揃います。
和商市場の勝手丼は、釧路観光で定番のグルメのひとつです。
和商市場の勝手丼は動画の(6:28)からご覧になれます。
「釧路の炉端焼き」は、地元文化として根づいた食スタイル。炭火でじっくり焼いた魚介を、気取らない雰囲気の店でいただく体験は、観光地の「映えグルメ」とはまた違う、素朴な満足感があります。釧路港近くの炉ばたエリアは、夜に足を運びたい場所のひとつです。
釧路の炉端焼きは動画の(6:46)からご覧になれます。
阿寒湖エリア:湖の恵みとアイヌの食文化
阿寒湖では、冬のわかさぎ釣りが人気の体験のひとつ。釣った魚をそのまま天ぷらにして食べられる施設もあり、湖の恵みを直接いただく贅沢があります。また、阿寒湖アイヌコタン周辺では、アイヌ食文化に触れられるメニューを提供するカフェや飲食店も増えています。シカ肉や山菜を使ったアイヌ料理は、独自の食文化を持つアイヌ地域ならではの味わいです。
弟子屈・摩周エリア:内陸の恵みと温泉地ならではのご当地グルメ
弟子屈周辺は酪農が盛んで、地元の牛乳や乳製品を使ったスイーツやソフトクリームが人気です。川湯温泉では、温泉宿の夕食に道東産の食材が並び、内陸ならではの豊かな食の魅力を感じられます。
ご当地グルメとしては、摩周湖の伏流水を使ったスープが特徴の弟子屈ラーメンがよく知られています。あわせて、香りのよさとすっきりしたのど越しが魅力の摩周そばや、香ばしいたれで味わう豚丼も人気があり、景色だけでは終わらない旅の楽しみを広げてくれます。
そして近年、道東の食の話題として注目されているのが摩周メロン(5:48)と摩周マンゴー(6:02)です。摩周湖の澄んだ水と、冷涼でありながら日照に恵まれた気候を活かして栽培された摩周メロンは、すっきりとした甘み・しっかりした果肉が特徴で、贈答品としても高い人気を誇ります。さらにハウス栽培による摩周マンゴーの生産も広がりつつあり、南国のフルーツを北の大地で育てるという意外性も相まって、旅の土産としても話題を集めています。道の駅 摩周温泉などで見かけた際には、ぜひ手に取ってみてください。
春夏秋冬でどう楽しむ?「水のカムイ観光圏」の四季ごとの見どころ
「水のカムイ観光圏」は、季節によってまったく違う表情を見せます。旅する時期によって景色が大きく変わるのも、このエリアの大きな魅力のひとつです。
春〜夏(5月〜8月):緑と青の季節、初めての方にも回りやすい
釧路湿原の緑が濃くなり、阿寒湖・摩周湖の深い青が映える季節。日照時間が長いため、たっぷり動けます。釧路湿原カヌー(6:53)や木道散策など、自然体験系のアクティビティが充実するのもこの時期です。本州の夏の暑さから逃れ、涼しい道東で過ごすのも心地よい選択肢。釧路は霧が多い日もあるため、羽織るものを一枚持っておくと安心です。
秋(9月〜10月):紅葉と澄んだ空気、写真に残したくなる季節
阿寒の森が色づき、摩周湖の展望台からの眺めはより鮮明になります。夏よりも空気が澄み、遠景まで見渡せる日が増えます。観光の人出が少し落ち着く時期でもあり、ゆっくりと自分たちのペースで回れる、穴場のシーズンです。
冬(11月〜3月):タンチョウ観察、雪景色、温泉の聖地になる季節
道東の冬は凛として厳しいですが、その冷気が生み出す景色は格別です。雪に覆われた湿原でのタンチョウ観察は、冬にしかできない体験。阿寒湖の氷上わかさぎ釣りや、摩周湖の雪景色も見どころです。そして何より、温泉の心地よさが倍増するのが冬。阿寒湖温泉も川湯温泉も、雪の中の露天風呂は格別です。氷点下の外気の中に入ると、温泉の蒸気がもうもうと立ち上がり、幻想的な世界が広がります。
特に9月~2月の秋冬の季節の釧路は「世界三大夕日」のひとつに数えられる、夕暮れの絶景で知られます。
釧路川沿いや幣舞橋(ぬさまいばし)付近から眺める沈む夕陽(8:09)は、旅の記憶に長く残る光景です。釧路エリアを訪れたなら、夕暮れどきに釧路の空を見上げる時間をぜひ行程に加えてみてください。
季節によってこれほど見え方が変わるエリアはなかなかありません。一度訪れた方が再訪したくなる理由のひとつが、まさにここにあります。
水のカムイ観光圏へのアクセスは?車・公共交通・バスでの回り方
「水のカムイ観光圏」は、釧路湿原・阿寒湖・摩周湖を中心に広がる観光エリアです。見どころが広い範囲に点在しているため、どの移動手段を選ぶかで旅のしやすさが大きく変わります。広く巡って景色の変化を楽しみたいなら車、阿寒湖温泉や川湯温泉を拠点にしてゆったり滞在したいなら公共交通を中心に考えると、計画が立てやすくなります。
水のカムイ観光圏の主なアクセス拠点
釧路空港
東京(羽田)などからアクセスしやすく、水のカムイ観光圏の玄関口として利用しやすい空港です。大阪・名古屋方面は時期によって季節便が運航されることがあります。釧路湿原周辺の主要スポットへも約30分から1時間ほどで向かえます。初めて水のカムイ観光圏を巡るなら、釧路空港から入ると釧路湿原、阿寒湖、摩周湖の順に回るルートが組みやすくなります。
女満別空港
阿寒湖、摩周湖、川湯温泉方面を中心に回りたい場合は、女満別空港から入るルートも便利です。摩周湖周辺までは約1時間前後が目安で、摩周湖や弟子屈周辺を旅の中心にしたい場合に向いています。
女満別空港から釧路・摩周方面へ向かう際は、途中にある美幌峠(びほろとうげ)にぜひ立ち寄ってみてください。屈斜路湖を見下ろす展望台からは、日本最大のカルデラ湖・屈斜路湖の全景が広大なパノラマとなって広がり、道東随一とも称される絶景に出会えます。旅の始まりに、この峠で道東のスケール感を体いっぱいに受け取ってから次の目的地へ向かうと、旅全体の印象がぐっと豊かになります。道の駅「ぐるっとパノラマ美幌峠」も隣接しており、休憩や軽食にも便利です。
釧路駅
JRでアクセスする場合の拠点になるのが釧路駅です。札幌・新千歳方面から特急を利用して向かうルートが一般的で、鉄道旅の起点として使いやすい駅です。
車で回る場合
- 釧路市街地 → 阿寒湖温泉約1時間30分
- 阿寒湖温泉 → 摩周湖第1展望台周辺約1時間15分
- 摩周湖 → 川湯温泉約20〜30分
車があると、釧路湿原・阿寒湖・摩周湖の3エリアを自分のペースで回りやすくなります。釧路湿原では細岡展望台や北斗展望地、温根内木道など見どころが点在しているため、車があると複数のスポットを組み合わせやすくなります。
阿寒湖では湖畔散策や阿寒湖アイヌコタン、摩周湖では展望台めぐりや川湯温泉への立ち寄りなども無理なく加えやすく、旅の自由度が大きく高まります。水のカムイ観光圏を2泊3日で広く巡りたいなら、車移動がもっとも計画しやすい方法です。
レンタカーは釧路空港、女満別空港のどちらでも借りやすく、空港到着後そのまま出発できるため、限られた日程でも動きやすくなります。
公共交通で回る場合
- 釧路駅 → 阿寒湖温泉(阿寒バス)約2時間
- 阿寒湖温泉 → 摩周駅・川湯温泉方面本数・乗り継ぎ要確認
公共交通でも水のカムイ観光圏を旅することはできますが、このエリアは都市部のように本数が多いわけではないため、移動には少し余裕を持たせることが大切です。釧路駅から阿寒湖温泉へは阿寒バスが運行しており、所要時間は約2時間です。
公共交通で回る場合は、釧路湿原・阿寒湖・摩周湖をすべて詰め込むよりも、阿寒湖温泉や川湯温泉を宿泊拠点にして周辺を巡るほうが旅を組み立てやすくなります。
たとえば阿寒湖温泉に泊まって湖畔散策や阿寒湖アイヌコタンを楽しみ、別日に川湯温泉へ移動して摩周湖や弟子屈周辺を巡る流れなら、移動の負担を抑えながら景色の違いも味わえます。
広いエリアだからこそ、移動に余裕を持たせることが旅の満足度につながります。行きたい場所を少し絞り込み、景色を急いで消化しない行程にすると、水のカムイ観光圏らしいゆったりとした旅を楽しみやすくなります。
1泊2日・2泊3日のモデルコースは?初めてでも回りやすいおすすめルートを解説
移動時間と体験・滞在時間は分けて表示しています
女満別空港 約1.5時間
カヌー 1.5〜2.5時間
釧路空港 約1時間40分
釧路湿原・阿寒湖・摩周湖をつないで巡る、水のカムイ観光圏の旅へ
釧路湿原の果てしない広がりに目を奪われ、阿寒湖では湖畔に流れる穏やかな時間とアイヌ文化の奥深さに触れ、摩周湖では静けさに包まれた青い湖を前に立ち尽くす。水のカムイ観光圏の旅は、ひとつひとつの景色や体験がゆるやかにつながり、気づけばひとつの大きな旅の物語になっていきます。
釧路湿原・阿寒湖・摩周湖をつないで巡る水のカムイ観光圏は、ただ観光地を回るだけでは終わらない、記憶に深く残る旅先です。次の北海道旅行では、景色の美しさだけでなく、静けさや文化、温泉、食までゆっくり味わえるこのエリアを旅の目的地に選んでみてはいかがでしょうか。
旅行を計画する際は、バスの時刻や観光施設の営業時間、季節ごとの営業状況などが変わる場合もあるため、出発前に公式サイトで最新情報を確認しておくと安心です。
【公式サイト】https://untouchedhokkaido.jp/
※本記事は2026年3月時点の情報をもとに、水のカムイ観光圏監修のもと執筆しています。
日本の魅力情報SNS「クールジャパンビデオ」
地図・アクセス(Googleマップ)
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細岡展望台北海道釧路郡釧路町字達古武22-9
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サルボ展望台北海道川上郡標茶町塘路
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コッタロ湿原展望台北海道川上郡標茶町コッタロ
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釧路市湿原展望台北海道釧路市北斗6-11
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北斗展望地北海道釧路市北斗
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温根内ビジターセンター北海道阿寒郡鶴居村温根内
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温根内木道北海道阿寒郡鶴居村温根内
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幣舞橋北海道釧路市北大通1
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釧路駅北海道釧路市北大通14丁目
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たんちょう釧路空港北海道釧路市鶴丘2番地
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阿寒湖アイヌコタン北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-7-19
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阿寒湖アイヌシアター「イコㇿ」北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4丁目7-84
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マリモ展示観察センター北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉
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阿寒湖畔ビジターセンター北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉1-1-1
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摩周湖カムイテラス北海道川上郡弟子屈町摩周湖第一展望台
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道の駅 摩周温泉北海道川上郡弟子屈町湯の島3丁目5番5号
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女満別空港海道網走郡大空町女満別中央201-3
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美幌峠北海道網走郡美幌町字古梅
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道の駅「ぐるっとパノラマ美幌峠」北海道網走郡美幌町字古梅
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