はなぶさ

2023年6月11日
[画像1]六甲の尾根の森の中、グルームさんと白いシッポのキツネさんとの不思議な逸話(いつわ)が残る穴場を見つけました。ここは明治時代から別荘地として栄えていた六甲山の三国池(みくにいけ)という場所です。明治時代

六甲の尾根の森の中、グルームさんと白いシッポのキツネさんとの不思議な逸話(いつわ)が残る穴場を見つけました。

ここは明治時代から別荘地として栄えていた六甲山の三国池(みくにいけ)という場所です。
明治時代に神戸へやって来た貿易商、アーサー・ヘスケス・グルームさんの別荘があった事は地図で知っていましたが、日本を愛し、神戸を、そして六甲山を愛したグルームさんがなぜここへ別荘を建てたのかを知るべく足を踏み入れてみました。

グルームさんはイギリスの英仏(えいふつ)海峡を臨(のぞ)む沿岸都市バーノンテラスに生まれ、1868年(慶応3年/明治元年)に神戸外国人居留地へやって来ました。 そうして日本茶や中国紅茶の貿易などを手掛け、やがて1895年(明治28年)、ここ三国池のほとりに101番屋敷と名付けた別荘を建てたのです。

ある日、ハンターに追われて迷いこんだキツネをグルームさんが匿(かくま)ったところ、そのまま別荘の近くに居着いてしまい、グルームさんの膝の上で眠ってしまうほどに懐いたそうです。
やがてグルームさんの逝去(せいきょ)後、家族のもとにこのキツネが乗り移ったという男が訪れ、驚いた家人は六甲山にキツネをお祀(まつ)りする祠(ほこら)を作ったそうです。
訪れた男はグルームさん一家とは縁もゆかりもなく、夢を見て(お告げがあって? )グルームさん一家にたどり着いた、との事だったそう。 シッポが白かった事からこの祠は白髭(しろひげ)神社と名付けられました。

実は私、この白髭神社を先に見つけ、お参りしてその由来を知り、この度は三国池の別荘跡地を目指して来たものでした。

さて、三国池のバス停から少し山へ入りますと、弦楽器のチェロの音色のようなカエルの鳴き声と、さらさらと流れる水のせせらぎが聞こえてまいりました。 するとすぐに茂みの合間から大きな池を見渡せる小道にたどり着けたのです。 池には小さな島があり、私の気配に驚いたカエルが水面(みなも)へ飛び込み、その波紋が音もなく広がる様子が遠くに見えていました。
その時、私はハッとしました。
木々が茂る小さな島の向こうの対岸に立つ、背の低い一本の木……
その周囲がほんのり明るく、ハイキングに来た家族連れの、その子供たちがはしゃいで走り回っている気配が感じられたのです。 その中に、幼き日のグルームさんの姿を見たような、そんな気がしたのです。
その瞬間、あ、そうか!!
と私は納得がいった気持ちになりました。
あくまで私の勝手な想像なので恐縮ですが、ここはグルームさんが幼い頃に家族と過ごした幸せな記憶の水辺と同じ雰囲気が漂う山なのだと……
もしかすると、瀬戸内海に面するこの神戸は、英仏海峡に面する故郷バーノンテラスとよく似ていたのかもしれません。
ふるさとの持つ安心感…… それがなぜか白いしっぽのキツネさんにも伝わったのではと想像を膨らませずにはおれませんでした。
グルームさんはここへ最初の別荘を建てて以来、六甲山のリゾート開発と植樹・登山道の整備に乗り出していきました。
ここはきっと、様々な発想を沸き立たせるパワースポットなのだと思います。
今回はそんな癒しの緑に囲まれた「穴場」からの一枚でした?

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2023年6月25日
夜明けの「明かり」にゆれる、街並みの「灯り」…… 今回の穴場の一枚は、神戸市章のイルミネーションで有名な市章山からの一枚です。 夕暮れ時になると山並みにライトアップされる市章とイカリのマーク…… このとても象徴的な神戸のランドマークから、逆に神戸や大阪平野までを眺める夜景の一枚を撮影してみました。 見晴らしのよいロケーションでは、想像以上に遠くまでを見渡せます。 写真の彼方の夜景は大阪平野で、その背景に見える山並みは生駒山地。 さらにその山向こうはもう奈良県となります。 神戸から奈良が肉眼で見える事にはとても驚きでした。 そして見晴らしのよいロケーションはさらに、様々な「あかり」を見せてくれます。 ーーはじめ真っ暗だった夜空は、近づく日の出に徐々に青みを増してゆき、そうしてやがて、東の地平にこぼれあふれるように夜明けの明かりが現れました。 音もなく、まだ眠りから覚めない街並みの灯りが、涼やかで心地のよい風にゆらゆらと瞬いていたのです。 自然の醸(かも)すその神秘的な光も、人の灯すこの温かみのある光も、私はどちらも好きです。 その両方を美しいと感じた瞬間、この世界は「自然と人」ではなく「自然の中の人」が強く感じられるのです。 今回はそんなふたつの「あかり」を同時に楽しめる、とっておきの穴場からの一枚をお届け致しました?