歌舞伎について

歌舞伎とは

日本の伝統芸の歌舞伎(かぶき)。
1965年に重要無形文化財にも指定され、2005年にはユネスコから傑作宣言がされ、無形文化遺産にも指定されました。
世界的な機関での傑作宣言により歌舞伎は海外でも知名度が高くなりました。
現代では日本と言ったら歌舞伎をイメージする外国人も少なくありません。

歌舞伎の語源

歌舞伎とは日本の伝統芸能で日本固有の演劇です。
歌舞伎の語源・由来は江戸時代まで遡ります。
歌舞伎の語源・名称となっているのは「傾く(かぶく)」という言葉。
「傾く」を名詞にすすると「かぶき」となることから、歌舞伎という名前がつけられたとされています。

歌舞伎の歴史

歌舞伎が最初に行なわれたのは戦国時代。
過去の古文などの資料によると慶長5年、1600年には行われていたと記録が残っています。

歌舞伎の始まりは「お国」という女性だとされています。
この女性は出雲阿国(いずものおくに)とも言われ、最初は「お国」が派手な衣装を来て、歌舞伎の基礎となるものを行っていました。
その後、同じような衣装を着た女性が多く存在して、庶民の中でも話題になりました。
その当時派手な衣装を着て踊ることを「かぶき踊り」とも呼ばれ、踊り手を「かぶき者」とも言われていました。
のちに「かぶき者」の女性を歌舞姫や歌舞妃・歌舞妓と呼ぶようになります。

歌舞伎が庶民の中で流行りだし、次第に茶屋などでも見られるようになりました。
歌舞伎の屋号に「音羽屋」「成駒屋」といった名前が多いのは、当時の歌舞伎を踊る茶屋名がから命名されたものなのです。

歌舞伎の演目

現在の歌舞伎の演目は大きく「歌舞伎狂言」と「歌舞伎舞踊」の二つに分かれます。
歌舞伎狂言の中でも時代物と世話物に分かれています。
時代物は江戸時代以前のことを描いて演じたものです。
それに比べ、世話物は江戸時代の世相を中心に描いています。
また、当時のお家騒動を描いたものを「御家物」といい、明治時代以降に描かれた演目については活歴物と呼ばれています。

また、歌舞伎舞踊は歌舞伎の中のひとつのジャンルとして定着しています。
演劇と踊りを組み合わせたものは飽きることなくご覧になれます。
「女方の舞踊」は、当時の女性心を描いた作品です。
「立役の舞踊」は、江戸時代の風俗などを描いたものでレパートリーが豊富。
「男女の舞踊」は、恋人同士の様子を表現しています。
このように一言に歌舞伎といっても多くの種類があるのです。

歌舞伎の舞台

歌舞伎の舞台には一つ一つの場所によって呼び名が決められています。
例えば、舞台のことを本舞台と呼び、舞台の左側を下手(しもて)、右側を上手(かみて)と呼ぶのが一般的です。
また、舞台の真ん中には舞台が回転することで場面が変わる時に最適な舞台機構という大掛かりな設備があります。
また、廻り舞台の真ん中には上下に動かすことができる「迫り(セリ)」があり、出演者の登場のシーンなどで使用されます。
これら以外にも歌舞伎の舞台から客席に向かっての一本の道を花道と呼び、観客に興奮を与えます。
舞台以外にも照明や歌舞伎音楽・黒・緑・橙でおなじみの幕などの演出によって、より観客が楽しめる時間が作られます。

襲名

襲名の基礎となっているのが明治時代に名を残した市川團十郎です。
市川團十郎は歌舞伎の世界では有名な方で、この芸名は現代でも受け継がれています。
歌舞伎の世界では芸名のことを名跡(みょうせき)と呼びます。
この名跡を代々受け継ぐことが襲名です。
通常その芸名を受け継ぐのは基本は実の息子ですが、弟子などへ受け継ぐ事もあり、その場合は芸養子と呼ばれます。
歌舞伎の世界では襲名をすることで世間的にも認められ、一流の役者と言われるのです。

現代の歌舞伎役者

近年最も有名な若手歌舞伎役者は市川海老蔵、中村獅童。
彼らはドラマやテレビ番組に出演し、芸能人に近い存在です。
日常は芸能人ということで活動していますが、歌舞伎役者ということで上下関係や規則・礼儀といったことを日々マナーとして心得ています。

彼ら以外にも松本幸四郎や中村勘三郎、片岡愛之助、市川猿之助、中村梅雀、中村吉右衛門、市川染五郎、坂東三津五郎らも俳優として多くのテレビドラマなどに出演しています。

歌舞伎は歴史と共に変化し続ける

長い間、歌舞伎という伝統文化を残そうと多くの人が努力をしています。
興行でアニメなどを題材にした歌舞伎も行われます。
日本で人気のアニメ「ONEPIECE(ワンピース)」や、世界でも人気のジブリ映画「風の谷のナウシカ」。
この二つの作品は過去に歌舞伎で行われました。
歌舞伎は伝統的な内容のものも人気ですが、新しい演目をすることで今までにない歌舞伎が生まれているのです。
社団法人伝統歌舞伎保存会も存在し、歌舞伎関係者が歌舞伎を保存するために日々努力をしています。

歌舞伎はどこで見られるのか?

歌舞伎をご覧になる場合、全国に4箇所の劇場が一般的です。
東京、東銀座の歌舞伎座を初め、新橋演舞場・大阪松竹座・京都四条南座の4箇所。
これら以外にも全国巡業などで日本全国の劇場やホールなどで歌舞伎をご覧になることができます。
また、チケットはインターネット・電話・劇場窓口での購入方法可能です。
料金は会場や演目により異なりますので、ご確認ください。