瀬戸内国際芸術祭は11月初旬に閉幕しましたが、今回初めて西側の粟島、伊吹島、本島を訪れ、格別に新鮮な気持ちになりました。3つの島の中で、最も記憶に残ったのは伊吹島です。
伊吹島で最もよく知られているのは、讃岐うどんの出汁の魂であるイリコ(煮干し)です。しかし、名産品よりも心を揺さぶられたのは、島特有の「出部屋(Debeya)」の跡地に展示されたアート作品〈伊吹の樹〉でした。
「出部屋」とは、台湾の産後ケアセンターのようなものです。昔、島で出産を控えた女性がいて、家の男性が漁に出なければならない場合、付き添って世話をする人がいませんでした。そこで、住民たちはこのような空間を作り、妊婦たちが安心して集まり、新しい命を迎えることに専念できるようにしました。
〈伊吹の樹〉のテーマは、母親の子宮を象徴し、「脱皮」や生まれ変わりのイメージを表しています。理念が深遠なだけでなく、内部に立つと、万華鏡のような鏡を通して見える光景が重なり合い、まるで別の柔らかく静かな世界にいるかのように酔いしれます。
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