ミシュランガイドについて

ミシュランガイドとは

高級レストランでのディナーの画像
写真:高級レストランでのディナー

ミシュランガイドとは、フランスのミシュラン社により出版をされる様々なファンガイドブックの総称です。
社名と同様の『ミシュラン』の通称で知られています。

代表的なものでレストランの評価を星の数で表すことで知られるレストラン・ホテルガイドがあり、一般的にはこちらのことを指して「ミシュラン」と呼ばれます。
装丁が赤色であることから、通称「レッド・ミシュラン(通称:ギッド・ルージュ)」とされています。

日米欧各国に様々な地域版があり、年間で約100万部が販売をされています。
ミシュランガイドは他にも、緑色を基調とした装丁の『グリーン・ミシュラン(通称:ギッド・ヴェール』と呼ばれる旅行ガイドブックや、自動車旅行向けの道路地図などがあります。

ミシュランガイドの歴史

暖簾の画像
写真:暖簾

ミシュランは、パリ万博が行われた1900年、自動車運転向けのガイドブックとしてフランスで発行されたのが始まりとされています。
主な内容は、郵便局や電話の位置を示した市街地図に、都市別のガソリンスタンドやホテルの一覧、更には自動車の整備方法まで書かれていました。
こちらは35,000部が発行され、無料で配布されました。

発行者であったミシュラン社はタイヤ会社のため、このガイドブックにより自動車旅行が活発化し、タイヤの売れ行きが上がることが目論見であったと言われています。

その後、第一次世界大戦があったこともあり、1915年から1918年まで出版が中断されたものの終戦後には旅行ガイドブックのシリーズとして「古戦場案内」が刊行されることとなりました。
そして、ミシュラン社がとある修理工所を訪ねた際に、傾いた作業台の足代わりにミシュランガイドを地面に積み重ねていたのも見かけて、「人間は金を払って買ったものしか大切にしない」と考え、無料配布を中止し、1920年には全て有償での販売をするようにしました。

1926年になり、料理を提供するホテルを星で格付けする方式が開始されました。
星の数は徐々に増えていき、1つ星から始まり2つ星、そして1931年には現在と同じ3つ星方式が導入されるようになりました。
その頃から、ミシュラン社員が匿名で施設の調査を行うようにもなりました。

レストランが星を1つ獲得するだけでその店の売り上げは30%増え、ある国でミシュランガイドが刊行されると、その国でミシュランタイヤを買おうと思う人が3%増えるとまで言われています。
フランス版の累計発行部数は、2004年版までで3,000万部を突破、世界の90か国を超える国で毎年約1,000万部の地図、旅行ガイド、レストラン・ホテルガイドが発行され、ミシュランガイドは2008年に全世界で120万部以上、2009年は100万部以上も販売されました。

ミシュランガイド代表のレストラン・ホテルガイド

三つ星の画像
写真:三つ星

ミシュランガイドの中でも代表的なものとされているのが、レストランとホテルを評価・案内しているレストラン・ホテルガイドです。
伝統的に赤色の装丁を特徴としており、フランス国内を中心に日米欧各都市・地域と言語別の分冊になっています。
レストランやホテル1件毎に記載されており、それぞれに対して各種記号や格付けをされているのが特徴です。

・評価と格付け
① 星印による評価(料理そのものの評価)
評価の印として、三つ星>二つ星>一つ星の順で評価をされ、それぞれが以下の意味を持ちます。
・一つ星:その分野で特に美味しい料理
・二つ星:きわめて美味であり遠回りをしてでも訪れる価値がある料理
・三つ星:それを味わうために旅行する価値がある卓越した料理

星を付けてもらうだけで世界で評価されているということで、売り上げが飛躍的に伸びることで知られています。
なお、星が付かなくても掲載をされる事があり、その際も一定の評価を得ているということで、売り上げが伸びる傾向にあります。

フランス2010年版では、全部で3,453軒以上のレストランが掲載されていたにも関わらず、三つ星に選ばれたのはわずか26軒となっています。

通常は、掲載店である全レストランの内1~2割程度が星付きとなるのですが、日本の「東京・横浜・鎌倉版」「京都・大阪・神戸版」の二つだけは星がついたレストランのみを掲載しています。

また、東京にて気軽に楽しめるフランス料理店を紹介している『ミシュランガイド ボンヌ・プティット・ターブル東京』では星無しのレストランも掲載されており、これに伴って日本版では初めてとなるビブグルマン(安くておすすめ出来る店舗に与えられる印)が登場することになりました。

② フォークとスプーン印の評価(快適さとサービスによる評価)
スプーンとフォークでX字形に組み合わせた印で5段階の評価を現しているもの。
基本的には、ホテルの快適さとサービスの充実具合によって評価をされます。

③ ビブグルマン(コストパフォーマンスによる評価)
ミシュラン社のキャラクターである「ムッシュ・ビバンダム」から取った「ビブ」からビブグルマンという名称になりました。
レストランでは1997年、ホテルでは2003年から用いられることとなった新しい基準で、コストパフォーマンスを評価基準とした称号となっています。

④ミシュランプレート
ミシュランの基準を満たした料理、適正な食材で作られた場合に与えられる称号。

ミシュランガイドの調査方法

レストランで食事する男女の画像
写真:レストランで食事する男女

基本的にはミシュランガイドブック内に広告は掲載されず、評価対象に対しては匿名での調査をしています。
調査員は調査地域を固定されることはなく、各地を転々としています。
調査員の大半はホテル学校の卒業生、及び5年から10年のレストラン・ホテル業界経験者のミシュラン社員であるとされています。
新人審査員は6か月の研修の後、更に6か月先任者と同伴して調査に挑んで適性を審査されることとなります。

国別ガイドの審査員は1人当たり年間130日程をホテルに宿泊、800程の自薦レストラン、ホテルを訪れ、240食程の食事をとり、これらを評価しています。
なお、調査の際に使う名前は全て偽名となっており、同じ審査員が同じレストランを3年以内に再訪することもありません。
都市別ガイドの審査員は自宅から出勤するので、ホテルを評価する代わりにレストランでより多く試食を行うとされています。

他にも、調査員の身分を明かしてレストラン・ホテルの経営者やシェフについて聞き取りを行う「訪問調査」が組み合わされます。

最終的な決定は、調査員からの報告書にプラスしてミシュランガイドに織り込まれている読者カードにより寄せられた読者の意見も加味、審査員全員の合議により決定をされます。

ミシュランガイドにて三つ星を得た日本のお店

お寿司の画像
写真:お寿司

和食・日本食は世界でも一定の評価を得ており、ミシュランガイドの中でも三つ星に選ばれているお店がいくつもあります。

・麻布 かどわき
東京都港区麻布十番にお店を構える高級懐石料理店。
趣ある特別な空間はまるで別世界に入ったかのようで、メニューはおまかせコースのみとなっています。
四季によって違う旬の食材をふんだんに使った料理は絶品で、一度訪れる価値のあるお店となっています。
ミシュランガイドでは10年以上二つ星を獲得、2020年には遂に三つ星を獲得されました。

・麻布 幸村
東京都港区麻布十番にお店を構える高級割烹料理店。
京都市で料理人として25年間修行をした幸村純シェフが2000年に開店したお店で、主に京都から調達した食材を振舞われます。
ミシュランガイドでは12年連続三つ星を獲得している有名なお店です。

・神楽坂 石かわ
東京都新宿区神楽坂の毘沙門天善国寺の裏手の裏手にお店を構えている高級懐石料理店。
四季折々の旬の素材を使ったコース料理は絶品で、季節によって違った顔と味を見せてくれます。
ミシュランガイドでは2009年の時点で三つ星を獲得されています。

・かんだ
東京都港区元麻布にお店を構える高級割烹両店。
季節や旬に合わせた料理を振舞っており、合わせて提供される厳選酒も特徴とされています。
ミシュランガイドでは、13年連続三つ星を獲得していることで有名なお店です。

・カンテサンス
東京都品川区北品川にお店を構える高級フレンチ店。
日本を代表するフレンチレストランとして非常に有名で、2007年に日本人現役最年少でミシュラン三つ星を獲得したシェフが腕を振るうということで、世界でも注目されているお店です。
最年少で三つ星を獲得して以来、13年間三つ星を守り続けています。

・虎白(こはく)
東京都新宿区神楽坂にお店を構える高級懐石料理店。
名店並ぶ神楽坂でも料理の味一つで存在感を放っているお店で、料理長は同じ三つ星の「神楽坂石かわ」を創業から支え、2008年に虎白を開店。
2016年から三つ星を獲得、国内最年少の三つ星料理人として有名とされています。
2016年に三つ星を獲得後、4年間三つ星を守っています。

・ガストロノミー ジョエル・ロブション
東京都目黒区三田にお店構える高級フレンチ店。
フランスを思わせるような店の佇まい、「驚きを体験してもらいたい」というコンセプトの元、味だけでなく見た目にもこだわり抜いた超一流のフレンチを味わえるお店となっています。
ミシュランガイドでは2008年より三つ星を獲得し続けています。

・鮨よしたけ
東京都中央区銀座にお店を構える高級お寿司屋。
銀座・NY・六本木とお店を転々とした後に銀座へ。
光るようなキラキラとした見た目の魚達をこの道31年の職人が寿司として振舞ってくれるお店となっています。
ミシュランガイド2019にて三つ星に輝くことになりました。

・まき村
東京都品川区にお店を構えている高級懐石料理店。
歴史と文化の街として知られている大森の閑静な住宅街にある日本料理店で、主なメニューは店主が毎朝築地で仕入れる新鮮で旬な魚を中心とした懐石料理となっています。
ミシュランガイド2015にて三つ星を獲得、なおも守り続けています。

・龍吟
東京都千代田区有楽町にお店を構える高級懐石料理店。
春夏秋冬それぞれに名物があり、全国から選りすぐりの天然極上素材を仕入れ、それらをふんだんに使った日本料理を届けるお店となっています。
シェフは世界のシェフ100人のトップ10入りされたことでも知られています。
ミシュランガイドでは、三つ星として9年間を掲載されています。

・ロオジエ
東京都中央区銀座にお店を構える高級老舗フレンチ店。
創業は1973年と、非常に古くからあるフレンチ店で、日々進化を続けている革新的なまでの料理は、訪れるたびに違った顔を見せてくれる感動があることで有名です。
ミシュランガイドでは、2019年に引き続き2020年にも三つ星を獲得しました。

※こちらで紹介した「ミシュラン」とはMichelin & Cieの登録商標です。