地元で「定義さん」と呼ばれる宮城県の西方寺はどんなお寺?仙台の山あいにある古刹を訪れて時間が止まったようなゆったりとしたひとときを過ごそう!
芸術・建築物
宮城県仙台市の定義如来西方寺で秋の絶景と歴史を満喫
宮城県仙台市青葉区の山奥にある「定義如来西方寺(じょうぎにょらい さいほうじ)」は、平安時代末期から800年以上の歴史を持つ由緒あるお寺です。
五重塔と紅葉の絶景、伝説の武将・平貞能の人生、今も残る祈りの風景など、訪れる人に深い感動を与えてくれる場所として静かな人気を集めています。本記事では、公式情報と4K映像をもとに、歴史・見どころ・アクセス情報までわかりやすくご紹介します。
定義如来西方寺とは? その歴史と名前の由来
写真:宮城県仙台市・定義如来西方寺
宮城県仙台市の山あいにある定義如来西方寺(じょうぎにょらい さいほうじ)は、800年以上の歴史を持つ由緒あるお寺です。その始まりは、平安時代の終わりごろ、平貞能(たいらのさだよし)という人物の人生に深く関わっています。
貞能は、平清盛の甥・平重盛に仕えた忠臣で、源平の戦いが終わった壇ノ浦の戦い(1185年)のあと、都を離れて各地をさまようことになります。そのとき彼が大切にしていたのが、中国・宋の時代に日本にもたらされた「阿弥陀如来の御影(みえい)」という掛け軸でした。
追われるようにしてたどり着いたのが、現在の定義の地です。貞能はこの場所に身を落ち着け、仏教の道に入り、自ら「定義(じょうぎ)」という名前を名乗るようになります。
この「定義」という名が、後にお寺の名前の由来となり、今でも地元の人たちからは「定義さん」と親しまれています。
貞能はこの地で、持っていた御影を丁寧にお祀りし、小さなお堂を建てて信仰の場としました。これが、定義如来西方寺のはじまりです。その後、長い年月をかけて整えられた本堂には、今もその阿弥陀如来像が大切に安置されており、極楽浄土へ導いてくれる仏様として多くの人の信仰を集めています。
現在では、「一生に一度の願いが叶うお寺」として知られ、仙台をはじめ東北各地から参拝者が訪れる、心のよりどころとなる場所です。
五重塔や紅葉、絶景スポットの見どころとは
定義如来西方寺の象徴ともいえる五重塔は、1986年に建立された高さ約30メートルの堂々たる建築です。総ヒバ造りで、周囲の自然と美しく調和し、青空を背にそびえる姿はまさに壮観。その存在感は映像でもよく伝わってきます(2:48)。
写真:宮城県仙台市・紅葉と定義山西方寺の五重塔
季節ごとに異なる表情を見せる境内のなかでも、とくにおすすめなのが「秋」です。紅葉シーズンになると、境内一帯のカエデが赤や橙に染まり、五重塔と織りなす風景はまさに絶景。池の水面に映る塔と紅葉が一体となる様子は、訪れる人の目を釘付けにします。
紅葉の見頃は例年10月下旬から11月上旬。ライトアップは行われていないものの、自然光だけでも十分に“インスタ映え”する景色が楽しめます。午前中に訪れれば、柔らかな日差しと静かな空気に包まれて、ゆったりとした時間が過ごせるでしょう。
さらに、山門や鐘楼堂、手水舎、貞能堂など、歩いて巡るだけでも歴史の深さが感じられる構造になっており、参拝と散策の両方が楽しめるのも魅力のひとつです。
また、湧き水「長命水」で点てた抹茶をいただける茶処や、参道で人気の「定義とうふ店」の三角油揚げも、忘れてはならない楽しみです。揚げたての香ばしさとふっくら食感が参拝のあとの体をやさしく癒してくれます。
なぜ観光客に知られていないのか?隠れ名所の魅力
定義如来西方寺は、仙台駅から車で約1時間というアクセスの良さにもかかわらず、大規模観光地とは異なる“静かな魅力”に包まれた場所です。大型バスの団体観光客で混み合うことが少なく、平日は地元の人がゆっくりと参拝する姿が多く見られます。
境内に流れるのは鳥の声と風の音、そして五重塔の鐘の音だけ。日常の喧騒から離れて、静かに自分と向き合うには最適な環境が整っています。とくに紅葉シーズンの美しさは格別で、「もっと知られていてもいいのに」と感じるほど。それでもなお、「知られていないからこそ訪れる価値がある」と言える、まさに“仙台の奥座敷”とも呼ぶべき隠れた名所です。
SNSの影響もあり、近年は徐々に知名度が高まりつつありますが、派手な観光施設とは違った本物の静けさと、歴史がつくり出す“空気感”が、訪れた人の心を惹きつけています。
定義如来西方寺への行き方と観光情報まとめ
●所在地:宮城県仙台市青葉区大倉上下1
●拝観時間:本堂 7:45〜16:15、五重塔・貞能堂 8:00〜16:15
●料金:拝観無料(写経体験など 一部有料)
●駐車場:無料(300駐車可能)
●御朱印:「定義」の墨書が人気。季節限定御朱印もあり。
●写経体験:「貞能堂」にて受付(約30分、500円〜)
●祈祷受付:毎日7回(8:00〜15:30)、受付にて随時申込可能
※ お正月は祈祷時間に変更がございますためホームページをご確認ください。
【アクセス方法】
・車:仙台駅から約1時間、仙台宮城ICから約45分。大倉ダムを越えて案内看板に従って進む。
・バス:仙台駅西口バスターミナル14番より「定義」行きに乗車し、終点下車。徒歩約5分(所要約75〜80分)。
写真:宮城県仙台市・定義山西方寺の油揚げ
【周辺情報】
・定義とうふ店(三角油揚げ):食べ歩きに最適なご当地名物。
・温泉地も近隣に多数:秋保温泉・作並温泉などと合わせた日帰り旅にもおすすめです。
公式サイトはこちら